電子書籍の妥当な販売価格は書籍の○○%

リュウです。

昨日は動物園へ行き(10月に行ってから既に2箇所で3回目)ました。
ゾウさんがすきらしく、「ゾウさんどこ?」と園内をぐるぐる回っていました。

今日も妻は仕事の追い込みで忙しく、午後はのんびり娘と遊ぶ予定です。

さて、本題。
今日は「紙媒体と比べた電子書籍の相対価値」について。

電子書籍はDRM(いわゆる著作権保護)の関係で、中古品が出回ることはないようなので、資産価値はゼロといえます。

電子書籍は、劣化しないのと、在庫がなくならないのでプレミアムがついた場合も定価で読める一方、中古品が出回らないため、悪い本でも価値は下がりません。
したがって市場による供給をゼロでコントロールされています。

そのため、本そのものの価値を、紙媒体と比べてどれくらい劣るか(優れるか)を考える必要があります。


※私のKindleアプリで表示されている本(2019.12)
夢をかなえるゾウ3を読もうと思ったら、平均読了5時間という数字をみて、

 読むとして紙媒体、と感じた。(Kindleの情報によると358ページ5時間6分)

●もくじ
1 電子書籍の仕様
2 消費者が妥当と思った値段で無いと売れない
3 価値を算定
4 具体例

1 電子書籍の仕様
特徴を整理。
・DRMのルールにより譲渡不可能

・本人が「コンテンツにアクセスする権利」を買う
・読みづらい

・データなので持ち運びやすい
・すぐ購入可能

・販売者がある程度定価を自由に変えられる

・DRMのルールにより譲渡不可能
断言します。

一番の問題なのはこれでしょう。

DRM(Digital Rights Management)とは、デジタル著作権管理の頭文字をとったもの。

不正コピーなどを防ぐためのデジタル技術のことです。

その中の一つに、転売させない技術が含まれています。

著作権を守りに守りきった結果、中古市場に出回らない仕様となっています。

通常の物ならば、本に限らず買い取ってもらうことが可能であり、次の人に流通させる権利があります。
ところが、電子書籍はこれが出来ない。正常な流通を阻害します。

著作権保護のためにコピーはできないのはやむないですが、

中古品の流通が出来ないのは敢えて「おかしい」とまで言ってもいいかもしれません。

・本人が「コンテンツにアクセスする権利」を買う
電子書籍は、自分でデータを保管するわけではなく、原則的にはAmazonならAmazonの電子書籍のデータにアクセスをして読む形式になっています。

したがって民法上、物権ではなく債権に区分といえます。

 

なお、国税徴収法上ならば(笑)紙媒体の書籍は「動産」電子書籍はデジタルコンテンツへアクセスする「債権」となるでしょう。
 

紙媒体はプレミアムがあれば公売されることもあるでしょうが、電子書籍は譲渡不可能なので債権価値はゼロで、公売に付すことは出来ません(無益な差押 同法48条2項)。

これも電子書籍の価値を落とす結果となります。
 

例えば、譲渡不能の不動産を想像してみてください。

資産価値がないのですから、間違いなく安売りせざるを得なくなります。

さらに問題があります。

有名な話ですが、会社が倒産などをしたときは電子書籍を読む権利がなくなる可能性が高いです。
紙媒体なら当然、出版社が倒産しても手放す必要はありません。
(それどころか本によっては価値が上がるでしょう。)
 

これが上場株式ならば、証券会社が倒産しても、証券そのものは管理機構に預けてあり、証券会社が破産しても株式自体は保全される点で、電子書籍とは比べ物にならないくらいオーナーの資産価値を大事にしています。

電子書籍も、喫緊にこのような電子書籍管理機構を作って、法人が倒産しても権利保護をしないといけませんですし、電子書籍を管理する法人の責務だと思います。

・読みづらい
単刀直入に読みづらいです。

漫画とかならばある程度問題解決されますが。

 

Kindleで、他の読者がその本を読破したのにかかった時間が掲載されているのですが、

紙媒体で360ページの本で約5時間、1分で1.5ページも読めない。

読み上げ機能を使えば良くなるのだろうか。

 

「情報収集としての読書法」にも書きましたが、情報収集には速読・多読が必要なため、読みづらい本は大きくマイナスです。

これは技術革新を期待できるので改善されるかもしれませんが、現行ではマイナス点といえるでしょう。

・データなので持ち運びやすい
ここからはプラス点。

 

持ち運びやすいこと。
ただ、紙に限らず、家や図書館以外で5冊も10冊も本を読むケースは、漫画のようなすぐ読めるものを、旅行などで中長期出かけるときくらいです。

通常はかばんに数冊本があれば十分でしょう。

なお、スマホ等で読むので、「暗いところで読める」ことはメリットです。
これは、暗い部屋で紙媒体は読めないため明らかなメリットになります。

あとは時々、「エコである」という的外れなメリットを主張する方もいますが、
エコロジーはメリットとは言い難いかな。
一応、「エコ=店に売りに行かなくていい(転売不可能)」くらいのメリットはあるのでしょうが。

・すぐ購入可能
すぐ購入可能なこと。一部の書籍などでメリットがあります。

例えば、株式の購入につき、会社四季報(東洋経済社)。
会社四季報を四季報入手可能日の前日に閲覧できれば、四季報相場とよばれる時流に有利に立ち回ることが出来ます。
(もっとも、会社四季報の電子書籍なんて読みづらいことこの上ないですが)

もっとも、1日早くて有利と感じる書籍はこの手の書籍くらいで、基本的には2,3日で致命的になる情報はありません。
漫画単行本は、読んでるかは置いといて既に雑誌で出ている情報ですしね。

・販売者がある程度定価を自由に変えられる
買う側が安く買えたりするメリットです。
とはいえ、どちらかというと販売者側のメリットだと思います。

2 消費者が妥当と思った値段で無いと売れません
この手の消費者の「電子書籍が高い」という意見に対し、製作者側や出版社のブログなどで時々こんな記事を見ることがあります。

「電子書籍は、安くなると思っている方が多いが、
原価がかかっているので安く出来ないのです。(だからやむを得ず高く売っている。)」

・・・・いや、そういう問題じゃないんです。

電子書籍に限ったことではありませんが、商品価値を判断するのは製作者や販売者ではありません。

価格を決めるのは、「言わずもがな、買い手」です。
紙より高いと感じれば選択肢になくなるだけです。

製作者らが、「みんなが儲かるように価格設定をしているので高いんです。」という言い訳をマイルドした以上の意味を感じません。
 

金額に見合わないと消費者が判断したら、電子書籍に限らず、その商品は廃れます。

次の3では、消費者側として、電子書籍の価格を紙媒体に比してどれくらいと判断できるか仮説を立ててみましょう。

3 価値を算定
2で出したメリット、デメリットに基づき、紙媒体に比した電子書籍の購入価値を検討したいと思います。

自分が買いたいと思う価値を算定するには、大きく2つを考慮する必要があります。
 

① 紙媒体と比較したメリット・デメリットに基づいた価値算定
② 紙媒体の資産価値

メリット・デメリットは、主に1の仕様から。

①について
紙媒体との単純比較のため、「紙媒体の定価に加減算をする方法」で算定。
パーセンテージは主観ですので、個人で補正してください。

・メリット
 +2%~+10% すぐ読める(会社四季報などの速報性に価値があるものは+10%)
+5% 持ち運べる・暗いところでも読める
+1% エコである(売りに行く手間がかからない) 

・デメリット
-20% 倒産等で読めなくなるリスク
-5%  貸せないリスク(兄弟にすら貸せない)
-0%~-15% コンテンツにより読みづらい(漫画などはデジタルでも負担が少ないので0%に近くなる)
±?%  ハードによっては、無料で読める本がある

②について
資産価値について。

二束三文で買うブックオフ等の古本屋と、ニーズで価格がつくAmazon等の市場では大分価値が違います。

今回はAmazonマーケットプレイスの相場を参酌しましょう。

ただ、満額にはしません。

せどりをしたことがある方は分かるかもしれませんが、そこそこの手数料と手間を取られます。
送料のうち一部を販売者がもらえるので送料込みの価格が資産価値と判断。

そこで、最安値の中古本(送料込み)の5割くらいを手残りとしましょう。

4 具体例
電子書籍も出ている本で比較して見ましょう。

最初は複数冊考察しましたが、冗長なので1冊のみ。

ミライの授業 (単行本(ソフトカバー))

この本にしたのは、

イ 絶版により、電子書籍の価値を感じるところがある

ロ 逆に絶版によりプレミアムがついているので売った場合と売らない場合のイメージが出来る
ことです。余談ですが、中々の名著で、14歳に読ませたい本No.1です。

 定価1,650円(絶版)
中古1,260円
電子書籍1,650円

①電子書籍のメリット・デメリット評価
+2%+5%+1%-20%-5%-15%=-32(%)

②紙媒体の資産価値評価
1,260円 × 50% = 630円

③電子書籍の販売妥当価格
(定価)1,650円 ×(100%-32%)-630円=492円

③’仮に市場価値がゼロの本又は売ることを考慮していない場合
(定価)1,650円 ×(100%-32%)    =1,122円

資産価値がある本を電子書籍で定価で買うというのは、やはり損をしている感じが否めないですね。
また、現在の電子書籍では、仮に資産価値がゼロ(又は転売しない)としても、紙媒体の定価の7割弱くらいと評価します。

●まとめ
実際に仮説を立てて計算してみると、電子書籍を定価で買うことへの違和感。

そして、無意識に感じていた電子書籍を選ぶことによる価値の減価を数値化したことで自分の中でも電子書籍の価値を整理することが出来ました。

私が感じる電子書籍と紙媒体の価値の差は32%(ビジネス書・紙媒体の資産価値を考慮せず)。

それくらい安くないと電子書籍を検討する価値は低いと感じていたようです。
 

確かになんとなく1,500円の紙媒体に対し、1,000円くらいからなら検討してもいい対象かな、と思えました。

ただ、私は古本を気にしないため、
Amazonの中古価格と電子書籍の金額を比較してしまい、殆ど電子書籍に手が伸びることがないです。

重要なポイントは3つ。

1 電子書籍に資産価値はない、譲渡できない、倒産リスクがある
2 売り手の原価の話に意味はない、高ければ淘汰される
3 価値はメリットとデメリットを並べて、加減算して紙媒体の定価と比較

電子書籍の価格が高いのではないか、という意見について色々調べていましたが、
今回の調査で、電子書籍は利権が絡みすぎてエンドユーザのことを放置している気がしました。

電子書籍そのものを批判するものではありません。

 

しかしながら、読みづらい、譲渡できない、倒産したら本がなくなる。
これらのデメリットは、すぐにでも改善すべきであるといえるでしょう。

でないと、電子書籍は広まるどころか衰退する可能性すらあります。

今後電子書籍を発展させるならば、紙媒体をあえて売らないか、上述してきた色々なデメリットを改善する必要があるといえるでしょう。

それには、使用者側の立場に立った価格と技術革新を目指していただきたいところです。

●余談
それはそうと、DRMってどっかで聞いたことあるなと思ってたら、「ダイレクトレスポンスマーケティング」もDRMですね。
神田正典の本を思い出してしまった。

 

 

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