ワクチン2回目も終わり、2週間待てば抗体量も増え、もう少し行動しやすくなります。
ワクチン反対派の人もいますが、個人的にはリスク(ワクチン)を取ってリターン(行動)を得るスタンスです。
さて、本題。
自分の職場には社内預金の制度があります。社内預金は労働基準法に規定される制度で、政令により最低利回りが設定されています。金利ゼロのご時世だと、このような最低利回りも一定の投資商品としてとらえることができると思います。
目次
社内預金とは
会社によっては、給与から積み立てて資産を増やす「社内預金(財形などと呼ぶこともある)」の制度があることがあります。(制度がない会社も少なくない。)
社内預金は、法制度によって市中金利が下がった今もある程度の金利で運用可能で、ブログやニュースなどでまれに取り上げられることがあります。
後述しますが、社内預金は給与から差し引かれ、利回りは法令に定めがあり、最低でも年0.5%の金利があります。
長く続く金利ゼロ時代の日本の環境で、利回りを目的に銀行に預けている人は皆無かと思いますが、比較的ではありますが利回りがある投資資産といえます。
デメリットは、(少なくとも自分の職場では)「出金を月2回しかできない」こと。
通常の金融機関のようにキャッシュカードのように使うことはできません。これは、財形(財産形成)が趣旨かと思われるので仕方ないと思います。
自分の職場にも社内預金があり、個人的には「まとまった額を準備する(銀行の代わりの)一時的な場所」として利用しています。
社内預金の最低利回りの根拠
社内預金は労働基準法18条に定めがあり、「強制貯金」といいます。
その利回りは厚生労働省令(「労働基準法第十八条第四項の規定に基づき使用者が労働者の預金を受け入れる場合の利率を定める省令」というやたら長い政令)により規定されています。
最低利回りの規定があり、その利回りの「下限は5厘(0.5%)」となっています。(省令4条)
この利回りを見て、ブログやニュースで「市中金利の500倍!すごい!」と騒いでいる人もいます。
とはいえ、言うても年0.5%。
銀行の金利に頼って預ける方はともかく、最低限の投資をする人は年0.5%では低いように感じます。
高配当銘柄なら年4%くらいのものは多数あり、積み立てとしてもS&P500のETFをiDeCoで積み立てたほうが利回りが良かったりします。
一方で、現在の日本で0.5%利回りを運用するというのだけでも相当に大変なようで、「社内預金」を廃止する企業もあるようです。一種の福利厚生と捉えるべきといえるでしょう。
公開されている利率
実際に各企業で年何%くらいの利回りで預かってくれているのか。
調べては観たものの、官民問わず非公開が多い。明確に公開しているのは自衛隊のみ。
あとは口コミによる情報です。福利厚生は組織に所属していない者にとってやっかみの対象となるためか、中々載っていないものです。(つまるところ、外部者に知らしめるメリットがほぼない。)
各社の利回りや上限額を社員の方から募集してまとめたい衝動に駆られますが、どの会社も0.5%に近い利回りか社内預金を廃止していると思います。
その中でも、インターネット上に公開されたものを抜粋。
①自衛隊の共済組合貯金(2018.3現在)
・普通預金 年0.49%
・定期積立預金 年0.99%
・定期預金 年1.23%
普通預金が、最低5厘(0.5%)が守られてないようにも見えます(税引き後(税率20.315%)?)が、定期系の預金かなりの利回りです。
定期預金の利回りは中々高い。
https://www.mod.go.jp/pco/fukuoka/want/images/2020/jieitainomiryoku3.pdf (P5、PDFの6ページ目参照)
なお、掲示板などで「10年くらい前は年7%だった『らしい』」という書き込みもあるようですが、もしそうなら、10年で倍(1.07^10=1.967)、「40年で16倍」になる計算で、ちょっとノーリスクにしては疑わしい。
引退した自衛官も一定数いるなか、その利回りを自慢している人を聞かないのでちょっと信憑性は薄そうです。
似た事例で、東京電力も年8%の社内預金があった『らしい』(大震災の頃の話題なので2010年以前くらい?)という話があるものの、これも裏付けらしきものを見たことが無いので同様。
②トヨタ自動車の転職サイトの口コミ(2011)
住宅目的の財形 年約4%
口コミながら、就職関連のものなので口コミの信憑性はそこそこ高いと思う。
「すまいるプランという社内預金制度があって、住宅取得目的だと利率が約4%と高いが、生命保険会社に運用を任せているので長期間安心して預けられない」とのこと。
当時の市中金利も0に近かったため、4%は破格といえるでしょう。
利回りが高すぎで嘘情報と思えるくらい。
10年経った現在、どの程度になっているかは不明です。
年4%なら目的が住宅に限られるとはいえ、ローリスクの運用としてはお勧めできるレベルです。
https://en-hyouban.com/company/00002695955/kuchikomi/26794/ (en Lighthouse)
③日本生命の転職サイトの口コミ(2015年頃)
社内預金 年1%
「社内預金の利率は1%と普通ですが、住宅ローンが相当低金利で借りれます。」
このあたりの利回りが現実的にありそうなレベル。
https://jobtalk.jp/companies/13179/answers/1338843 (転職会議)
社内預金より運用のが良い
3で先に結論を書いてしまいましたが、社内預金より「iDeCo」と「つみたてNISA」を利用した資産運用の方が良いと思います。
一般の会社員(厚生年金2号被保険者)は、iDecoで月24,000円。
積み立てNISAは、月平均33,333円(年40万円)を拠出可能。
月57,333円(年688,000円)を拠出し、なお積立型の投資をしたいときに初めて社内預金を使う検討をすればと思います。
3の口コミにあった、10年ほど前のトヨタの住宅用の積み立ての年4%くらいならまだしも、S&P500系のETFの方が(若干のリスクはあるものの)利回りが高いため、「社内預金」の利用価値はリスクこそ低く、銀行の金利よりは高いものの、そこまで利用価値は高くないのかもしれません。
まとめ
上述の通り、日本の金利が高い頃は社内預金の選択肢もあったに違いない。
一方で、社内預金を預かる人が運用のプロというわけでもなく、高利回りの維持は困難といえるでしょう。
以下、まとめ。
・社内預金は給与から天引きする資産形成の一つ
・最低利率が年0.5%であるため、利回りも市中金利よりは高い
・一方で年1%程度なら「iDeco」、「つみたてNISA」の方が概ね良い
・社内「預金」として、銀行の代わりに預ける意味はある
法令
●労働基準法(抄)
(強制貯金)
第十八条
(略)
4 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金
の受入であるときは、利子をつけなければならない。この場合において、その利子が、金融機関の受け
入れる預金の利率を考慮して厚生労働省令で定める利率による利子を下るときは、その厚生労働省令で
定める利率による利子をつけたものとみなす。
(略)
●労働基準法第十八条第四項の規定に基づき使用者が労働者の預金を受け入れる場合の利率を定める省令(抄)
(一の年度における下限利率)
第二条 一の年度における下限利率は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める利率とする。
一 当該年度の前年度の十月における定期預金平均利率及び同月において適用される下限利率の差が五厘以上である場合 当該定期預金平均利率に端数処理をして得た利率
二 当該年度の前年度の十月における定期預金平均利率及び同月において適用される下限利率の差が五厘未満である場合 当該下限利率と同一の利率
(年度の途中における下限利率の変更)
第三条 毎年度の四月における定期預金平均利率及び前条の規定により同月において適用される下限利率の差が一分以上であるときは、当該年度の十月から三月までの期間における下限利率は、前条の規定にかかわらず、当該定期預金平均利率に端数処理をして得た利率とする。
(下限利率の下限)
第四条 前二条の規定による下限利率が五厘未満であるときは、これらの規定にかかわらず、下限利率は五厘とする。
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