おはようございます。
リュウです。
今日も昨日に引き続き「影響力の武器」を紹介したいと思います。
読むたびに、「なるほど」と思うところが多く、感心します。
影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか R・チャルディーニ
今回は、2つの影響力の武器である、
「コミットメントと一貫性」についてです。
人は、物事を決めたら、それが正しいと信じるようになります。
時には、もともとの根拠が間違っていたと気づいたとしても・・・。
それゆえに1度目のコミットメント(「はい」と言うこと)が、
以降の行動に大きく左右されることになります。
重要なポイントとしては、
・(心の中では反対してても)書かせることでコミットメントが取れる
・コミットメントをとることで、自己イメージが変わる
・コミットメントを(多数に)公開できる
・自分で決めたことなので、意見を変えにくい
・これは、元々のコミットメントをとった動機がなくなっても同様である
「一度決めたことは、(最初本意でなかったとしても)意見を変えにくい。」
いくつかの具体例が挙げられていますが、
そのうちの一つ、中国に捕虜となったアメリカ兵の話。
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捕虜は、中国に好意的ではありませんでした。
中国でそれをうまく懐柔させるために、次のような方法をとりました。
・まず質問を書かせる
・そして中国に好意的な答えを書かせる
・拒否した者には、既にノートに書かれている答えを書き写させた
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書き写すだけ、これはアメリカ兵にとって小さな譲歩だったのかもしれません。
しかし、当人もその行動を取ったということが記録に残るため、
一貫性を保ちたいがために、自己イメージを変えてしまうこととなる。
これを書いたのを見た、他のアメリカ兵も影響を受ける。
書いたと言う事実が残る利点はここにもある。
捕虜収容所でかかれてエッセイコンテストにも同様のテクニックが使われている。
コンテストの商品はタバコ数本やわずかばかりの果物なのですが、
捕虜にとっては魅力的なものに映るでしょう。
中国のした行動は賢明でした。
共産主義を褒めちぎったエッセイが主に優勝していたのですが、
時にそういう立場でないエッセイも優勝することがありました。
これは、共産主義をほめないと優勝できないと思わせると、
コンテストに参加しないものが増えるからと理解しているためです。
彼らアメリカ兵は、その小さな商品のために、
(本人はそう思ってなくても)共産主義を一部認める文章を書くようになります。
そして「自己イメージも」共産主義に懐柔されていくことになるのです。
これと似たようなものが商売でも利用されています。
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P&Gなどで、
商品の「推奨文」のコンテストが行われることがあります。
数万円の賞金を元に、
似たり寄ったりの推奨文を集め、
年に何回もコンテストを行う。
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上記、アメリカ兵の件をみるとこれがなぜ行われるか、わかったかと思います。
「決して推奨文を載せたい」という意図はメインではなく、
「商品へのコミットメント」を求めているのです。
また、自分が(心に思ってなくても、)その商品が良いと書いてしまうと、
「自分が決断したもの」なので、意見を変えにくくなります。
上記、捕虜の件も、あくまで任意で書かせたものです。
「書け」と強要されていたとしたら、
以降の行動はそれほど大きくは変わらなかったことでしょう。
また、一度決断をしてしまったら、
意見を変えにくいと言うエピソードが描かれている。
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タバコ嫌いの女性が、
付き合っていた男性と別れ、
別の男性と結婚しようと式まで設定した。
しかし、元々付き合っていた男性に、
「二度とタバコは吸わない」と泣きつかれ、
式を取りやめた。
男性は1ヶ月後、普通にタバコを吸い続けているが、
女性は分かれようとするどころか、男性をより深く愛するようになったようだ。
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女性は、タバコを吸わないという男性に対して意見を代えたのにも関わらず、
タバコを吸い続ける男性を愛しだした。
ここに、「一貫性」が働いています。
彼女は、その男性に「自分の意思でコミットメント」をとってしまったのです。
すると、タバコを吸いだしたとしても、そのコミットメントが支えとなり、
「タバコを吸わない」と言う条件が取り除かれても、
愛すると言う行動が続くようになります。
結論として、
一見害悪のない「決定」こそが、今後の行動に一貫性を持たせる。
それは、推奨文を書かせるコンテストであったり、
嘘をついて相手に決断させるテクニックも同様である。
また、自分で決断をしたと言う事実が、
相手にとって、決断を変える大きな重みとなる。
また、決断を下した以降に、
その前提が間違っていたり、取り除かれたりしたとしても、
その決定を覆すことは起こしにくい。
今回もまた、実用性の高いことが書かれている章でした。
次回は、「社会的証明」についてです。
影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか R・チャルディーニ
リュウ
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(平成22年9月3日現在 375冊 / 381回)
あなたの読書の役に立てるとうれしいです。
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