入院と高額療養費算定(期間と範囲)についての整理

リュウです。

 

先日入院をする話をしたところですが、正式に12月に入院をすることになりました。

それにしても悪性ポリープでなくて良かったです。

木曜日入院で日曜日で退院。

年休2日を使うこと感じになりそうです。

 

鼻ポリープを切るだけならすぐですが、検体を切り取った時に鼻血が止まらなかったのも有り、3泊4日となった次第です。

妻と子を残して入院というのも中々大変ではあるのですが、今後、元気で長生きをするために、今こそ手間をかけておくべきなのかなと思いました。

そこで、今回は「入院とお金の話」のうちの高額療養費の話でもしたいと思います。

2年ほど前に関連業務をしていて、質問を受けた部分です。

当初は、高額療養費、医療費控除、生命保険について入院全般について、解説をしようと思っていたのですが、重要部分だけでもかなりの分量になってしまったので、高額療養費制度にした経緯。そして、高額療養費でも割と細かくなってしまったので、期間と該当する範囲を整理して今回の記事にしました。

今日の結論で重要なところとしては、2点。

●目次
①入退院は月をまたがせない(最重要!)
②入院前の診断があり21,000円を超える見込みがあるならば、入院と診断を同じ月に持ってくること

となります。

 

根拠本文は、社会保険ならば健康保険法が該当します。(国民健康保険なら国保法)

(高額療養費につき、健康保険法第115条、政令で定める部分として健康保険法施行令第43条)

 

重要部分だけ解説していきましょう。

①入退院は月をまたがせない(最重要!)

保険対象医療になる医療費は、施術方法や医薬品、入院の日数に応じて金額が定められており、毎日の計算の積みあげ、月ごとにまとめて保険者に請求します。

月の合計額が限度額(足切り)を超える部分は高額療養費として給付され、実質その部分は費用が発生しません。

 

重要な部分は、「指定した月内で一定の支出をしたとき」です。

したがって、入院日と退院日が別の月にまたがると医療費が増える可能性があります。

自分の事例だと、今回は2つの入院日(11月29日と12月13日)が提案されました。

自分の入院をモデルケースとして概算、4日間入院として、2日目に手術。
1,3,4日目に1万円、2日目に10万円の医療費(3割自己負担部分)として算定します。

(高額療養費に影響しない食事療養費、差額ベッド代、保険外診療分は考慮しません。)

また、限度額は区分ウ(※)で、わかりやすさ重視で限度額は80,100円とします。
(実際は、80,100円(医療費267,000円)を超える部分の医療費の1%が加算されます。
相当医療費が高額にならない限り、限度額にそこまで影響しないので今回は無視します。)

※標準報酬月額28万~50万円未満 又は 旧ただし書所得210万円超から600万円以下とします。
旧ただし書き所得とは、総所得金額等から住民税基礎控除額33万円を引いた額

イ.ケース1 12月13日入院12月16日退院のケース

ケース1の場合は、全ての負担が12月になっています。

この場合、12月の医療費は1+10+1+1=13(万円)となります。

高額療養費は、
(12月分) 130,000円 - 80,100円 = 【49,900円】
です。

ロ.ケース2 11月29日入院12月2日退院のケース

では、入院と退院が別の月に分かれていたらどうなるでしょうか。

ケース2の場合は、11月と12月に負担をしたことになります。

この場合、
11月の医療費は1+10=11(万円)
12月の医療費は1+1=2(万円)となります。

高額療養費は、
(11月分) 110,000円 - 80,100円 = 【29,900円】
(12月分)  20,000円 < 80,100円 → 0円(後述事項にあわせるなら 20,000円<21,000円 → 0円)
となります。

入退院日が、月内か月をまたぐかというだけで2万円の医療費の違いが出てきます。
短期の入院なら、できる限り同月でやったほうが良いということがわかると思います。

②入院前の診断があり21,000円を超える見込みがあるならば、入院と診断を同じ月に持ってくること

次に、外来の負担を加算できるかどうかについてです。

 

入院は同月でやるとして、外来も加算されるとより少ない負担で済みます。
これは、一定条件を満たすことで可能(逆に言うと該当しづらい)です。

重要なポイントは2つ。
(1)70歳到達月までは入院と外来は別計算
(2)外来が同月に21,000円を超えると足し合わせて高額療養費を計算する

残念ながら同じ病院でも、入院と外来は別々になってしまいます。

(入院外来の別として、昭和48年10月17日保険発95号・庁保険発18号、昭和48年11月7日保険発99号・庁保険発21号))

 

また、21,000円の足切り条件があります。
したがって、「同月に外来だけで21,000円を超える」ことが必要になります。

モデルとして、ケース1の入院を想定し、入院前の検査と医師の案内が行われることを想定して計算します。

ハ.ケース3 検査が12月1日(20,000円)、医師の案内が12月8日(2,000円)


 

ケース3では、12月に検査で20,000円(外来)、案内で2,000円(外来)、手術等で13万円(入院)が発生します。

この場合
外来分(12月) 20,000円+2,000円=22,000円>21,000円 足し合わせ対象
入院分(12月) 130,000円

高額療養費の額は、
(12月分)(22,000円+130,000円)-80,100=【71,900円】

さらに22,000円の給付額が増えることになります。

ニ.ケース4 検査が11月24日(20,000円)、医師の案内が12月1日(2,000円)


 

ケース4では、11月に検査で20,000円(外来)が発生し、

12月に案内で2,000円(外来)、手術等で13万円(入院)が発生します。
 

外来分(11月) 20,000円<21,000円 足し合わせ不可
外来分(12月) 2,000円<21,000円 足し合わせ不可
入院分(12月) 130,000円

高額療養費は、
(11月分) 0円<80,100円 無し
(12月分) 130,000円-80,100円=【49,900円】
となります。

両方のケースで同じ金額を支出しているのに、

入院日や診察日が違うことで受けられる給付額が数万円変わってくることが想定されます。

理屈だけで考えると若干不思議ですが、外来が21,000円以上かかった方が給付が多くなり、手出しが少なくなることに留意しておくと良いでしょう。

●まとめ
高額療養費は、制度が複雑です。

ただ、重要なことはシンプルです。
①入院の月をまたがせない(最重要!)
②入院前の診断があり21,000円を超える見込みがあるならば、入院と診断を同じ月に持ってくること

です。

入院日を選べる病状で急ぎの入院を要しないこと、

入院日をある程度選ばせてくれる病院であることで、工夫次第で自分の負担を減らすことができます。

・おまけ
まとめてて思いましたが、高額療養費は大分複雑化した制度になりました。
説明する上で大分端折ったものの、簡略化するために正確さを欠いた内容になっています。

簡略した部分としては、
・高額療養費の限度額(足切り)の1%加算

区分ウなら80,100円+(総医療費-267,000円)×1%という計算式を説明していたら、相応の分量になるので省きました。
・医療で処方をされた薬を貰う調剤部分の医療費については21,000円の足し合わせになるという例外の例外的な要素も紛らわしいので省きました
・70歳以上は別の計算式が有ります。(しかも30年8月から現役並み所得者の区分が複雑化して高所得者の負担が増えました。また、21,000円ルールの適用なども違います。)
・食事療養費のことについては触れていません(最近値上がりして一食460円になったなどブログネタとしては面白いところですが)。
・差額ベッド代も最近厚生労働省から通達が出ていたことがわかり、ネタとしてはここも面白いところです。
・医療費控除の説明も省きました。(高額に該当できない部分もいくらかは所得控除になります)
・生命保険関連も省きました。(医療保険は、選び方であまり個人的においしくない保険なので別途解説したいところ。)
・最初は、医療点数の話、併せて入院基本料の話も触れていましたが冗長なので省きました。

簡略化しすぎですね(笑)

 

10年位前はもう少し単純な制度だったんですけどね。

(平成20年3月以前は後期高齢者医療制度もなかったです。)

高額療養費も70歳到達月までは3区分、70歳以上は4区分とわかりやすかったですし。

結局、必要なことを2つ(月またぎ、21,000円ルール+外来・入院は別)しか説明できませんでした。
それでも、入院をするときは、ちょっとした選択で数万円も負担を減らせる制度なので、うまくあてはめて給付を受けましょう。

これだけ制度が複雑になると、社労士試験を受ける人はここ10年でかなり大変になったんじゃないかなと思います。

 

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