ブルーウェイブと米国株相場の過去の傾向

今日もSTOCK TRADER’s ALMANACから。
何度か引用しましたが、とても面白い本なので余裕がある方は一読すると良いと思います。

1月のジョージアの上院議会議員選挙で民主党が勝利し、民主党で大統領、議会を制しました。
この状態が株価にどのような影響を与えたか、過去の成績を読み解いてみたいと思います。

ブルーウェイブと相場

民主党がジョージア州上院議員選挙を制し、上院も民主党過半数となり、大統領・議会ともに民主党が制しました。この大統領・議会を民主党がともに制した状態を「ブルーウェイブ」と言います。統計上は、米国株にとってあまりいい影響ではないようです。(なお、共和党が大統領・議会を制した状態を「レッドウェーブ」といいます。)

大統領と議会を制した状態がどのような状態かというと、相手の政党を気にせず議案を通せるものが増えます。(重大なものは60%の賛成が必要になるため、現時点では通りません。)

そのため、偏った政策になるものも少なくないことから、業績の悪化、ひいては市場の投資家も警戒心を抱くことになります。

統計面から見た実績

実際に、ブルーウェイブが株価にどのような影響を与えるか。
STOCK TRADER’s ALMANAC 2021のP80で、1949から2019年までの大統領と議会の政党とダウ・ジョーンズの成績を検証したものがあります。

大統領と議会(上下院ともに過半と上下院で別政党の2ケース)で全6通り想定されます。
実際に比較をしてみましょう。

大統領:民主で議会:共和のケース

民主党の大統領と共和党の議会の場合は、平均16.4%の上昇。
他の組み合わせを圧倒し、6通りの中で一番良い上昇率です。

大統領:民主で議会:民主のケース

ジョージアの選挙でもう一つの想定された形。

民主党の大統領と民主党の議会の場合、すなわち今回のようなケースは、平均7.4%の成長。
成績は6通りの中で下から2番目。あまりよくありません。

(参考)その他のケース

なお、他のケースも記述があるので確認してみましょう。

民主党の大統領と議会が上下院で別政党の場合は+11.7%

共和党の大統領と民主党の議会の場合は+13.0%
・共和党の大統領と共和党の議会の場合は+4.9% これが最低値
・共和党の大統領と議会が上下院で別政党の場合は+8.4%

です。

一応、ドットコムバブルのころの政権など政策上の勝利に限らない要因もあるのである程度以上参考にしがたいところですが、ブルーウェイブは相場にとってあまりよくなさそうです。

逆にレッドウェーブはどうか。

共和党が大統領を取った場合は、議会も共和党の方が一番良いスコアが出るようです。

相場を大統領と議会だけの要素に絞った場合、「議会が共和党であるかどうか」が重要な論点なのかもしれません。

結論として、ブルーウェイブはあまり良い影響はないようです。

選挙結果と行動すべきこと

ここを読んでいる方のほとんど全員が、米国大統領選挙の投票権がないと思います。
もっとも、自国で投票権があっても、決定された選挙結果を一国民でどうこうできるわけではありません。

したがって、決まった結果に対しどう動くかが重要。「選挙結果」そのものを楽観的・悲観的に考える必要はあまりないのかもしれません。

例えば、

・次期政権で有利となる業界(自然エネルギー分野等)に投資する
・金利上昇に対応したバリュー銘柄の投資をする。
・米国自体の成長に投資する(S&Pや米国全体のETF等)等の広い対応をする。
・米国以外を投資対象にする(中国のEV産業等)

等々、「結果から、次にどこへ需要が集まるか」を検討していく必要があります。

選挙そのものより、「選挙により何が動くか」。
これを意識していくことで、勝てる投資をすることができます。

まとめ

今日は、ブルーウェイブと株価を考えてみました。
重要なのは以下の2つ。

・ブルーウェイブはあまり株価にいい影響を与えない
・選挙に楽観悲観をせず、その中で良い分野に投資する

大統領の選挙が正当か否かという点でとても後味の悪い雰囲気が漂っていましたが、決まった大統領に沿って投資するという点では状況は変わっていません。投資家がすべきことは「決まったものに対し、最適な判断を下す」こと。

しっかりと勝てる投資家になっていきましょう。

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