平成を駆け抜けた夜行列車「寝台急行はまなす」の話

リュウです。

今日は平成最後の定期更新です。
平成最後の記事だし、需要はともかく好きなテーマを書きたいと思っていました。

自分は鉄道好き(鉄道の旅好き)で、色々なところへ出かけます。特に、北海道の鉄道は味があるので好きです。

しかしながら、2016年の北海道新幹線の開通のころから普通列車の接続や本数そのものがものすごく悪くなり、段々と18きっぷでの旅に向かなくなりました。
特急利用者はともかく、JR北海道自身が自動車を勧めているようにすら感じます。

そんな北海道の鉄道ですが、特に思い入れの深い列車に、今はなき「寝台急行はまなす」があります。

寝台列車というと、現代において古めかしい昭和世代をイメージしますが、実は、「はまなす」が走った時代は主に平成です。
1988(昭和63)年3月13日に運行を開始した列車(2016(平成28)年3月21日で実質終了)で、その運行期間の9割強は平成であることがわかります。

なお、平成からこ走りはじめた夜行列車として、トワイライトエクスプレス号(札幌~大阪 平成元年~平成28年)、サンライズ出雲・瀬戸(東京~出雲市、高松・琴平、平成10年~)、なお、北斗星(上野~札幌 昭和63年から)

今日は、青森~札幌をつないだ夜行列車「寝台急行はまなす」について語りたいと思います。


※寝台急行はまなす(札幌駅:2015.11)

 この列車を見ると一瞬で旅情に浸れる威厳を覚えます。
 また乗りたい。

「はまなす」との出会い

初めて「はまなす」に乗ったのは2013(平成25)年9月です。
それまでは、時刻表で見る程度で存在を知りませんでした。

きっかけとなったのが、竜飛海底駅見学ツアーです。
北海道新幹線が2016(平成28)年3月に開通すると、おのずと海底駅2つも閉鎖されそうな雰囲気だったので向かいました。

函館に戻り、帰りに北斗星に乗って帰るプランだったのですが、大台風が来て北斗星は運休。途方にくれていたところ、なんと「はまなす」は定時運行を予定とのことで、切符を変更し、函館から青森、青森から新幹線のはやぶさ4号で東京に戻りました。

その後、はまなすの旅情が印象に残り、新婚旅行(2014.8)で片道(函館~札幌)利用、その後も北海道(2015.11)の鉄道ひとり旅の際に上下線(青森~苫小牧、札幌~青森)に乗りました。


※旧:竜飛海底駅(2013.9東津軽郡外ヶ浜町 2014.3正式に廃止)

 青森県と北海道の間、銀河鉄道999のアンドロメダのような無機質な空間に、2つの海底駅(竜飛海底駅・吉岡海底駅)があります。

 この旅の大台風の所為で、はまなすを知り、北斗星に乗る機会を失った思い出の地。

「はまなす」の良さを語る

北海道の寒い冬を何十年も人を運んできた歴戦の勇者の車体。みんなが寝静まる深夜の駅に気動車の轟音が鳴り響く。まるでアニメ(漫画)の銀河鉄道999のようです。

車両もB寝台(2段開放)、サンライズ出雲・瀬戸のようなカーペット車両、元グリーン車の座席、自由席とバリエーション豊富。
1席しかない競争率の高いミニラウンジもあります。

時間帯も、ニッチながら需要がありました。

 札幌行きは、青森22時18分発、札幌には06時07分着。
 青森行きは、札幌22時00分発、青森には05時39分着。

これらは、夕方の飛行機が出た後の時間帯、例えば夕方に青森・札幌周辺で飲んだ後、北海道、本州の各所に帰る中距離夜行としても活躍していたようです。

到着時間から、札幌勤務の方は始業時間に余裕のある6時代の到着。
北海道の各方向(千歳、釧路方面、旭川、稚内、網走方面)の始発特急、東京方面の新幹線と秋田方面の特急の接続にも良く、本州と北海道をつなぐバイパスで、夏冬の帰省時期の自由席の車両の前は発車の数時間前に列ができるほどの人気車両でした。

※はまなす号の連結部分(撮影日:2013.9?)

 地方列車でしか中々見なくなった「日本国有鉄道(国鉄)」のプレート
 民営化から30年。当時の与党が掲げた現行路線の維持はされませんでした。

そして廃止へ

そんな魅力あふれる列車でしたが、2016年3月の北海道新幹線開通で廃止が決まります。
一般的に、利用者の減少、車両の老朽化などが原因で廃止される運びになったといわれています。

実際は、急行列車だとお金が取れないことも間接的な要因だったかもしれませんし、函館、長万部、伊達紋別、東室蘭の4駅では、0時~5時の間に駅を営業していないといけなくなるため、人件費の負担もあったかもしれません。

鉄道会社の運営に関する専門知識がないので可能か不可能かは不明ですが、貨物車両が走れるのだからJR貨物の車両を借りて夜間運行することも可能ではないかと思いますが、現実的ではないようです。

2016年3月20日(札幌発は21日)の最終日は、全ての席と寝台が指定になり惜しまれつつ引退しました。

※青森駅(青森市 2015.11)
 急行はまなすには、青森駅、函館駅、札幌駅が良く似合う。

夜行をやめて本当に正解だったのか

JR北海道の財政を考えると、最適化しないと破綻してしまうため安定して利益を出せる新幹線を採用したというのは時代の流れとして仕方ないと思います。

とはいえ、新幹線が札幌まで開通していない現在、旅情あふれる夜行列車を見捨てたJR北海道の判断は英断と言えたかは難しいところです。

個人的には、現在においても、(青森~仙台、秋田行きに向けた)新幹線へのバイパスとして、利用可能と考えます。

現状、新幹線には「新幹線の夜行運行は事実上不可能」という大きな弱点があります。
夜行運行可能な寝台急行はまなすの運行をやめてしまったので、

 ・北海道内で夜間にたどりつけていた地域の終電が早まる
 ・飛行機に勝っていた一部地域(特に仙台)のアドバンテージを放棄

という問題が発生しました。
明らかに勝てていた仙台の客をつかめるのが大きかったんですけどね。

前者について、新幹線の利便性と利益のためにやむなく放棄したと判断できても、後者の点において道民と青森県民の利便性をかえって落としている結果になっているように思います。

やはり、はまなすを復活させるか、かつての快速ミッドナイト号(札幌~函館)を特急昇格で復活させられないものかと考えます。

・・・とはいえ、海峡線を走れなければ、ライバルは飛行機より夜行バスです(苦笑)

後日しっかりとした考察を立ててみたいです。

まとめ

・寝台急行はまなすという平成を駆け抜けた列車があった
・はまなすの消滅で、新幹線が通るようになったが、かえって不便になった地域がある
・札幌~函館の夜行を活かしたい

現在の日本の夜行列車は、サンライズエクスプレス(出雲:東京~出雲市、瀬戸:東京~高松、琴平)を除き、無難なところを走る数十万円もするクルーズトレインしかなくなりました。旅情を得るにも大金を積む時代にもの寂しさを感じます。

令和時代には素敵な列車が走ることを祈りつつ、今後も旅を続けたいと思います。

※2020.5.10 レイアウトを修正。

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