1000億を動かす! ファンドマネージャー塾

最近、ファンドマネージャーの本を読み続けています。

今回は保険会社の運用担当に入っていた著者の経験談です。

●1000億円を動かす! ファンドマネージャー塾 杉山 明

正直、読んだところ実感のわかない本でした。

「ファンドマネージャーとして、運用会社に入ったら何をしているか」
「ファンドマネージャーとはどういう仕事なのか」
という内容です。

おそらく著者の会社での実経験について語られているのだと思います。


・お金ではなく人を大事にする

・個人のスコアではなく、チームプレイを重視する

ということを何度も書いていたため、
著者としては、この2つがとても重要なこととして主張したいのだと思います。

ただ、日本の「チームプレイ」とアメリカの「チームプレイ」では考え方が異なり、
日本では、チームが良くなるように動き、
アメリカは、チームは個人個人が集まりチームとなるという考え方です。

著者はこの2つのチームプレイ論で言うと後者のスタイルで、

自分のスコアが悪くても、チーム全体で成功すればよい、
相手のスコアが悪くても、自分のスコアでカバーすれば良い。

と書かれているように感じました。


一人の天才ファンドマネージャーより

安定して運用できるチーム作りが重要

というのが著者の主張です。

確かにチームワークは重要であり、
人間関係が重要なのはわかります。

ですが、投資の運用成績は個人の積み重ねであり、

チームプレイができるからいい運用成績が上げられるのではなく、
チームプレイはできてあたりまえで、

その前提の下、
各個人の運用能力が高い水準で平均化されているから、
良い運用ができるのではないでしょうか。

大規模なファンドマネージャーの運用方法が書かれているわけではなく、
苦しい・楽しい体験談もなし。

また、投資する側もどういう投資ファンドに投資したらいいのか、
ということについても詳しく書かれておらず、中途半端感が否めません。
1000億円を運用しているということについてはまったく触れていません。

プロとして載せられない内容が多いからなのでしょうか、
不明瞭な部分も多々あります。

他に気になったところは、分散投資を行っているところですが、
年金という事業規模を見る限り、
こちらはやむなしなのかもしれません。

バフェットに「分散は無知のリスクヘッジではないのか」と怒られそうですが・・・。

サブタイトルの「資産運用のプロの世界がこれ一冊でわかる」
というのは少々誇張しすぎだと思います。

贔屓目に見ても、「1000億円を動かす」というタイトルに名前負けしている気がします。

2006年に出された本なので、
おそらく上り調子の相場の頃に出た株本の1冊なのでしょう。

投資ファンドの仕事をナメているわけでは断じてありませんが、
彼らの年収が1000万を超える人が多い以上、
これらの仕事の内容でそれだけの年収を受けている職場とは思えません。

何かを隠しているのか、やや薄く感じる本です。

タイトルに目を惹かれて買う人もいるかと思いますが、
運用だけを目的に考えているのなら、
バフェット本を読んだ方が役立つことでしょう。
 

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