分散投資はミリオネア達成を遠ざけるのか?

投資関連(外国株以外)

「分散投資をするとリスクヘッジになる」

投資をするときに、著名人が分散投資を勧めることがあり、それは一部正しいと思います。

一方で、個別銘柄の過度な分散(言いようによっては「中途半端」な分散)はかえって利回りを減らす結果になるように思えました。今回は、そんな分散投資のデメリットを中心に考えたいと思います。

分散しすぎると、株価の伸びを実感できないかもしれない

「分散投資」というリスクヘッジ

投資の世界では「一つの籠に卵を盛るな」という格言があります。

卵を一つの籠に入れておくと、カゴを落としたときに全部の卵が割れてしまうが、
卵を複数の籠に入れておくことでそれを防ぐことが出来る
、ということを意味します。

一つの銘柄に投資をすることで暴落ですべての資産を無くしてしまうことを防ぐ意味で、分散投資(複数の籠)を勧める方が多いです。

分散投資の長所と短所を整理すると、

①長所
・セクターや銘柄ごとに分け、1銘柄の急落による退場を防ぐ(複数の籠)
・ダブルバガー、トリプルバガー銘柄を引き当てる確率を上げる

②短所
・特定の銘柄の伸びによるリターンも分散
・銘柄の管理負担が増す
・投資している「気がして」しまう
・頻繁に売り買いしやすくなる(売買コストと損切り)

といったことが挙げられます。

しかし、これらは運用にどのように影響するか。
次項では、利回りを検討してみたいと思います。

分散投資と利回りの減少について

実際に分散したときの利回りと、集中したときの利回りを比較してみましょう

●モデルケース
 ・資金は600万(計算しやすいため)
 ・3銘柄と10銘柄の保有のケースで1銘柄が10倍、あとは1倍(増減なし)
 ・目安として1回再投資
 ・(煩雑になるため)税金は考慮しない

(1)3銘柄に分散

1回目
600万円 ÷ 3 = 200万円

200万円 × 10倍 + (600万円 — 200万円)= 2,400万円

2回目(再投資)
2,400万円 ÷ 3 = 800万円

800万円 × 10倍 + ( 2,400万円 - 800万円 ) = 9,600万円

(2)10銘柄に分散

1回目
600万円 ÷ 10 = 60万円

60万円 × 10倍 + (600万円 — 60万円)= 1,140万円

2回目(再投資)
1,140万円 ÷ 10 = 114万円

114万円 × 10倍 + ( 1,140万円 - 114万円 ) = 2,166万円

勿論、10銘柄に分散した方が10倍株(テンバガー)が出る確率は僅かに上がるかと思います。

参考として、
「10銘柄に分散、うち2銘柄が10倍になったとした場合」に同様の期待値を出した場合は4,704万円(<9,600万円)となり、そこまで良い成績ではありません。

もちろん、テンバガーになる見込みのありそうな銘柄は僅かなので、
10銘柄選べばテンバガー1銘柄、3銘柄だとゼロというケースもあり、戦略失敗も見込まれます。

どれくらいの分割がよいか

結論でいうと、分散投資にこだわる人は問題ないと思います。
何億も資産がある人などは、投資タイミングやリスクヘッジなどで分散をするのもわかります。

一方資産が億(ミリオネア)に届かない我々のような多くの人は、極端な分割は「利回りの分散(減少)」を招いているように思います。

そこで2つの提案。(銘柄数は私見です。)

①割り切ってインデックスを買う

分散投資の極致は、インデックスファンドです。
ETFを利用すれば、全世界から米国・日経平均まで数百・数千の銘柄の分散を低コストで図ることが出来ます。

個別の会社の成績というよりは、(マクロ)経済の成長の恩恵を受け価格が上がります。

実は、この方法は長期的(10年規模)に観て、一流のファンドマネージャーより良いスコアを上げることも多いです。

②一定額(例えば億)までは3~5銘柄以上資産を分けない

端的に言うと、これが一番書きたかったこと。

種銭がわずかしかないのに、20銘柄など持っていても利回りが分散してしまい利益が出ません。

例えば、1,000万円で20銘柄に分散すると、1銘柄平均50万円。
50万円のどれかが活躍して「億」となるのは、かなりの長期間か、運用成績をあげなければなりません。かといって頻繁に売買すると手数料がかかり、利回りを圧迫します。

そこで少数精鋭。

1000万円以下は3銘柄、1億円以下は5銘柄など、ある程度分散を押さえます。
その3~5銘柄を厳選します。
(「あわよくば勝つ」ものではなく、「絶対に勝つ」ものといえる銘柄を選びます。)

候補を数十銘柄に絞り、それを安いと思えるタイミングで入ります。
銘柄購入に数カ月かかっても良いと思います。

後は待つだけです。

仮に、経験を積むために多数の銘柄に投資したい場合は、「それ用の枠」を決めて、本筋を有力銘柄に集中投資にすることを勧めます。

まとめ

分散投資はリスク分散の手段です。
また、少ない銘柄を持つより価格の動きを楽しむことが出来、株式投資をしている気になれます。

一方で、資産の分散は、利回りの分散であることを忘れてはいけません。

実は、これらは自分の1年半の米国株投資の反省としています。
米国株投資でパッとした成績を上げられなかった原因として、

 ・(多数の銘柄情報に惑わされた)頻繁な売り買い
 ・過度な分散

と思っています。

一人でやってきた、ベトナム株投資の10年間、ある程度まとまった利益を出しましたが、
「利益の9割くらいは2銘柄」によって出しています。

なお、銘柄は過去に紹介した、

 ・バーデン山タイニンロープウェイ(TCT)(保有期間:2010~2020)

コロナの関連で売り時を逃しましたが、そこそこの成績でした。

 ・アグリバンク保険(ABI)(保有期間:2016~)

長期投資の恩恵をフルに受けた銘柄

の2銘柄です。(チャートは「vietstock」から引用:https://vietstock.vn/)

前者は、8年で4倍(瞬時値8倍)、
後者は初期購入したものは5年で6.5倍(買い増したため、現在は3倍)になりました。

ポジショントークをしても仕方ないため割愛。

株価が騰がる前から、ベトナム株のポートフォリオを占める割合が、

 TCTはポートフォリオの65%(2010年頃)
 ABIはポートフォリオの60%(2016年)

を占めていて、分散投資には程遠い状況でした。
そしてこれらが運用利回りの殆どを叩き出しているのも事実です。

集中投資できたのは、

 (ベトナム株の情報そのものが少ないため)他者の意見がほぼなかった
 ・自力で調べるので、リスクをギリギリまで調べて投資
 ・そのため銘柄数を増やしにくい

という環境が良い結果を生みました。

また、TCTは1年、ABIは3年くらいバリュートラップと言える緩慢な成長となった期間がありました。

ただ、5年で5倍になるならば年37.9%(5^(1/5))の運用成績となり、単体ならバフェットに匹敵するスコアになるのです。

バフェット氏は、かつて「分散投資は(リスクヘッジではなく)無知へのヘッジである。」と言っています。分散投資はリスクの分散とともに、リターンの分散につながるということを、もう一度見直して銘柄選択をしてもらえればと思います。

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