リュウです。
今日は第25章。
「恨みは買われないように」、についてです。
1960年代は、バフェットが尊敬してやまなかったグレアム流こと、
シケモク銘柄を購入する機会が徐々に減ってきたころです。
バフェットは、ある風車会社を購入した。
風車会社のデンプスターは、財務基盤がしっかりしているため、
1株辺りの純資産が株価の4倍程度あったようです。
(すなわちPBR0.25ということでしょう)
バフェットはデンプスターを気に入ったため、
パートナーシップの資産の21%をデンプスターにつぎ込みます。
友人のウォルターや、経営者一族から株式を買い占めていき、取締役会長になります。
しかし、デンプスターは資産状況はともかく経営事情が思わしくない企業で、
状況によっては赤字で倒産する可能性がありました。
そこで、経営建て直しのプロ(ハリー・ボトル)を呼び寄せ、
在庫を整理し、人員を一時解雇しました。
こうすることで、デンプスターを黒字転換させるのですが、
産業が少ないデンプスターの本拠地の住民から恨みを買うようになってきます。
雲行きが怪しくなったところでバフェットは、
デンプスターを売ろうとしたが売りに出せず、公売という手段をとります。
そこで衝突が起きました。
住民は地元で数少ない産業のデンプスターで働いている人が多い。
ここで売りに出されるとさらに雇用が減るのではないか。と予想したわけです。
地元の新聞社にバフェットは極悪人がごとく描かれます。
創業者の孫のチャールズ氏が工場を閉鎖しないと宣言し、事態は収束しましたが、
バフェットは二度とこういうことがないように決意しました。
この後の、バークシャー・ハサウェイの買収でもそうなのですが、
「利益が出ていないがものすごく安売りされている企業」より
「利益を出している企業を適切な価格で買うこと」がどれだけ大切か、
身をもって知った瞬間の1つなのかもしれません。
さて、それはそうとこの章では、
ウォルターにデンプスターを売ってもらうのに加えて、
最後にウォルターにお礼として優良企業の株式を売ってあげています。
バフェットはきっと見込みある優良な企業を、
ウォルターに渡したに違いないのですが、
「君のデンプスターを売ってくれ」とか、
「5つの会社の株を少しずつ持っているんだが君に売るよ」とか、
かなり強引なところがあるようです。
やはりそれくらいのパワーがないと、
ファンドマネージャーになるのは大変なのかもしれません。
そしてもうひとつ、ウォルターとの一件で興味深い記述として、
「5つの会社を少しずつ」渡したということなので、
バフェットは、
「少な目ながら見込みがありそうな企業を、多数保持していた」のではないだろうか?
と予想を立てます。
なぜならば、「良い企業の株式はいくらあっても足りない」というバフェットの理論ならば、
ウォルターに、いくらあっても足りない良い企業の株式を、直接渡せば良いからです。
そこで、バフェットは良い銘柄を多数保持するのに加えて、
「企業情報収集を目的(株主総会に参加など?)として多種企業を持っていた」のではないだろうか。
そして、それをウォルターに渡した。と予想します。
これは、少数銘柄を多量保持するバフェット流のイメージに対して、
ちょっと考察する価値があることなのかもしれません。
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