時価評価に大きな意味はない

インターネットの夕刊フジの記事で興味深いものがあった。

「円高で貧しくなるニッポン 産経新聞特別記者・田村秀男」
http://news.infoseek.co.jp/article/29fujizak20111029008

概要としては、よくある円高で輸出企業が困るという話ではなく、
「企業が富み、民間が貧しくなっている」、


「日本の海外資産が円高で圧縮されている」

の2点を強調している。

もうすこし詳しく書くと
・円高と原料高の中、値上げをしない(労働者の富を海外に食いつぶさせている)

・円安なら、本来の日本の海外資産が100兆円くらい増える(だから損をしている)

・ドルに頼らず円で勝負すればいい

というのが筆者の主張である。

1つずつ整理していくと、

・円高と原料高の中、値上げをしない


値上げをできないのは、円高だからというだけではありません。
どちらかというと競争力がないコモディティ商品を売っている企業だからです。

日本の商品が海外と比べて値段以外に比較する要素が少なくなったため、
労働集約的なジャンルで東南アジアの安い費用にはかなわないのではないでしょうか。

実際に競争力が強い企業は値上げをしています。

・円安なら、本来の日本の海外資産が100兆円くらい増える

これは貧しさと全然関係ありません。

その場で現金に換えなければならない海外資産ならともかく、
10年単位で持っているならば、現在価値は関係ない。
むしろそれだけ円高で、見た目の資産が少なく評価されているということです。

「実際はもっと評価されるべき資産を持っている日本」と書くべきで、
貧しいというのは勘違いな気がするのです。

・ドルに頼らず円で勝負すればいい
正論です。

ただ、ある企業(手前味噌ながら自分が保有している企業)は、
海外輸出を円建てでやっています。

そして、実際にかなり良い売上高収益率をあげていて、
ROEも好調です。

1つ目の結論と同様、
円安でだましだまし経営を維持してきた競争力のない企業が、
不景気と円安でやられているだけのように思います。

結論として、ざっくばらんに言うのならば、
円高でも、円安でも、持っている資産そのものは、
売ったり買ったりしない限り変わりません。

むしろ、円高は海外の資産(証券、物品、商品)を買う時であり、
その価値が、今後円安で正当に評価される時に利益を出すことができます。
利益が圧縮されているからこそ、投資のチャンスなのです。

ちなみに、円高をポジティブに考えると、
月収20万円の手取りをもらってたサラリーマンが、

1ドル100円の時にドル建てで給与をもらったならば、 2000ドルの収入
1ドル 80円の時にドル建てで給与をもらったならば、 2500ドルの収入

と、25%もドル換算で収入が増えていると考えることができます。

いつまでも無制限に円高が続くとは思えません。
海外投資に最適な時期ではないかと私は考えます。

個人的にはそろそろベトナム投資に追加資金を投げようかと思っています。
(迷いがあるとすれば、タイ株が価値が圧縮されてきているので買いごろと思えるところ)

最後に、

日本が一時に比べ、バブリーな環境ではないことは確かです。
しかし、円高でもしっかりと利益を出し続ける輸出企業は(当然輸入で大儲けしている企業も)あります。

そういった意味では、問題があるとするのならそれは円高ではなく、

利益率の低い企業を良い意味でも悪い意味でも守り続けてしまった、



そして、輸出のみに頼りすぎてしまった今の日本の体制そのもの
に、
問題があるような気がしてならないのです。

良い企業は残り、悪い企業は再編する。
今がその見直しの時期としてチャンスなのではないでしょうか。

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