インフルエンサー投資家の情報の限界と活用法

投資関連(外国株以外)

米国株では、SNSを利用したインフルエンサーに頼る投資法を中心に行ってきました。
しかし、ふと思うと「言うほど成果が上がっているだろうか」と思い、その原因を分析してみることにしました。

結論としては、自力でやるのと違って、

・情報の速度
・質のバラつき

を把握したうえで工夫しなければならないと思いました。

インフルエンサー投資について

インフルエンサー投資は、SNSなどのインフルエンサーが勧める銘柄を見て分析、必要に応じ追って購入する投資法です。(自分が勝手に命名した造語です。分析しているものの後述「イナゴ」と呼ばれるのがイヤだから勝手にそう名乗ってるだけ。)

「インフルエンサー」となるSNSの対象者は、元証券会社や銀行勤務だった方の情報を利用する方もそうですし、ARKインベストメントのようなETFの動きを追うような方も広い意味ではインフルエンサー投資といえます。

なお、人のやり方を真似るため、「イナゴ」と揶揄されることも度々あり好かれないことも多いです。
(個人的には仲良くしてほしいところです。)

そんなインフルエンサー投資で、2020年頃は好成績を挙げていましたが、2021年ではパッとした成績ではありませんでした。ベトナム株のバフェット銘柄(バリュー型成長株)の方がはるかに好成績だったためです。

最近の市況では、「インフルエンサー投資」の難しさを感じ、考え方を改めようと思っています。
次項では、インフルエンサー投資の弱点を検討してみましょう。

インフルエンサー投資の弱点

インフルエンサー投資法の弱点、それは「情報の遅さ」、「情報の質のバラつき」です。

①「情報の遅さ」について

「XXX(ティッカー) +40%」
と書いて、Investing.comなどの時間外取引などの上昇率が張られている画像。

2021年12月3日 YahooFinance(全体的に下げた日で、上がった銘柄があまりありませんでした。)

そして、それに追随する大量の賛同リプ。
SNSの株式投資関連を見ると、時々目にすると思います。

これを見て分析をするときは、既に上がった銘柄に対し投資をするか判断することになります。
「グロース株は高値更新を追い、買うことも時には必要」と言われることがありますが、過熱後の銘柄では「情報として遅く」、下がるリスクを倍増させているように思います。(後述の通り、また下がることもままある。)

情報は鮮度が大事、「既にSNSで出た時点で鮮度が切れているものがある」ことを意識しておく必要があるでしょう。

SNSでのリアルタイムに近い銘柄推奨にもかかわらずなぜ「遅い」のか。

単純な話。
インフルエンサーさんも、「株価が上がって確証を持ったあと(確度の高い情報を)情報提供する(したい)こともある」からだと思われます。
(一部の人はみんなが買い付ける前に自信を持って出してくる人もいて、真似ると結構勝てる情報もあります。)

原因としては、
「仕込み終えたから情報提供」という見方もできますし、
「根拠を持ってやったけど、上がるまで自信がない」という見方もできます。

利益が具体化してからのインフルエンサーの情報の後追いは、仮に良い銘柄・良い情報であってもハイリスクなになる場合があります。

換言するなら「一週間前のプロ野球の推しのチームの勝ち試合の結果を分析する」ことに似るかもしれません。

当然、強いチームかどうかを確認できる価値はある。
加えて、状況によりまだ入れる可能性もある。

一方で、どこが優勝するかの予想が進んだ後の情報(既に人気になっている)もあります。

②情報のバラつきについて

インフルエンサーさんの個々の批判をする気はないですが、
「情報の新しい・古いとは別に、質が低い人と高い人がいます」
当たり前といえば当たり前の話です。

次に、「フォロワー数は情報の質と比例しません」。
これも当たり前、と読んだ人は思うかと思います。
(比例する人もいますが。)

ところが、実際にSNS(例えばTwitterのツイート)を見てしまうとつい、
「あの人が云うから大丈夫」と手を出してしまう人がいる。

また、それぞれに得意分野があります。

銘柄分析は上手だけど、相場は下手な人もいます。
分析自体は下手だけど、良い銘柄を当てる人もいます。
セクター別でも、バイオは得意でハイテクは得意ではない人などもいます。

文章にすると当たり前とわかっているのに、リアルタイムでSNSを見ると、
「そうなんだ!ではそれに投資しよう。」となってしまうんですね。

一人の情報、一つの情報で判断するのは危険であるといえます。

また、インフルエンサーも完全ではありません。
間違えた予想や判断をすることもあります。

他にも、ソース(原文)の解釈を違えていたり、ソースの信頼性が低い情報であることもあります。
情報源が二次情報である場合は、原文を読んでみることを勧めます。

インフルエンサーも罠を張ったわけではない

なお、当たり前の話、これらのインフルエンサーはフォロワーを罠にかけたくてやっている人はほぼ皆無です。むしろ、「良い情報だからこそ共有したい」「投資家のレベルを底上げしたい」という方の方がむしろ多いように思います。
(でも、丸ごと真似られる「イナゴ」だとイヤだという心理の方もいるようです。)

そこで、インフルエンサー投資法の情報を活かしていくにはどうすればいいかをいくつか考えてみました。

①銘柄ではなく判断基準を理解する

例えば、「OPECが生産量を制限しているから原油が上がっている」、併せて「エクソンモービル(XOM)は買い」という人がいます。

ロジックを考えてみましょう。

生産量を絞る→原油が上がる→原油販売価格上昇→原油関連株が上がる。

というように(実際は、そんな単純なロジックではないですが)、1つの情報を情報を銘柄まで結び付ける必要があります。

この場合、原油株に絞っただけでも、

エクソンモービル(XOM)が良いかもしれないし、
ロイヤル・ダッチ・シェル(RDS.B)がリーズナブルかもしれないし、
BP(BP)が成長しているかもしれません。

他にも、

 金利が上がる(長短金利差が上がる)→金融株は買いやすい

という見方もあれば、

 金利が上がる→通貨価値が上がる(ドル高・円安)

というように、1つの事象による影響は複数あり、銘柄選択のチャンスが分岐していることも多く、その中の「買いごろの銘柄を選べばいい」のです。

一方で、SNSの情報の「銘柄」にしか目に行かないとこのような場合にリスクを負うことになります。

こういった時に、インフルエンサー投資(イナゴ)をしている人が負けると、インフルエンサーを批判するのを下げ相場でよく見かけますが筋違いです。

インフルエンサーから学ぶのは「考え方」であって「銘柄」ではないのです。
(もちろん、特異な技術や独占力のある銘柄に投資することはあります。)

②質が高くない情報は避ける

言わずもがなですが、質が高くない情報を避けましょう。
情報内容の薄いものもそうですが、

 ・たびたび不正確な情報
 ・情報が遅い

なども、リスクが高い情報であることを忘れないようにしましょう。

③過熱中の銘柄は下がるまで待つか買わない

「上がりました!」
というツイートは刺激的ですが、無視すべき。

そう、無視すべきです(自戒)

上がりました系のツイートは刺激的だし、「自分も乗りたい」と欲深になってしまう人が多いです(私だけなのかな。)

刺激的な上げの多くは、(全部じゃないのが憎らしいですが)概ね調整されます。
下手したら、その人の買いより低い株価で買えるかもしれません。

一度上がった銘柄の騰落について、面白い資料があります。

IPOの分析方法として役立つ書籍の「IPOトレード入門」という書籍があります。
この本によると、

1982年以降のIPOで
 8週以下で100%上昇した銘柄が55
 8週~13週 45
 13週~26週 94

という実績があります。
一方で、100%上昇(要はツーバガー)した後、52週(約1年)以内に50%調整(要は100%の上昇分が帳消し)した銘柄は、

 8週以下  47
 8週~13週 29
 13週~26週 63

です。これが何を意味するか。
全体で、「26週までにIPO初日の終値から倍になった銘柄の72%がIPO初日の終値まで下がった」ことを意味します。

すなわち、
「オススメした銘柄、IPO上場時より倍になりました!」

とインフルエンサーが叫んだ時に乗ると、72%の確率でIPO初日の終値まで転落する可能性があるわけです。
これは慎重に考えるべきといえるでしょう。

④SNSは二次情報が多いため原文にあたる

原文を読むと見えてくるものがあります。

決算短信(10-Q、10-K)やその財務諸表、ガイダンス、企業のHP、ニュースの銘柄特集記事など、
本来は、自分で原文にあたるべきところです。

現在は、ブラウザで和訳できる時代になったので、言語能力がない我々でも十分読むことが出来ます。
動画ですら、文字で和訳してくれる機能もあるので、情報は極力原文に頼りましょう。

まとめ

悔しいからあまり書きたくないけど、
恥ずかしながら、今年はインフルエンサー投資をしたことでかえって成績が下がった年でした。
(もちろん自業自得であり、反省するきっかけになりました。)

真似事(正しくは後追い)はハイリスク。

ただ、インフルエンサー投資はリスクなだけではなく、賢人の知を自分の投資法に活かすために重要な勉強法です。恐らく20年も前だと、このような感じで技術、銘柄分析、決算情報などを高速で得るのには相当の財力(経費)をかけなければいけなかったです。

その点において、このような貴重な情報を無償で提供するインフルエンサーの存在は我々(特に日本人)の投資技術向上に大きく貢献したものだと思われます。
将来、日本からもバフェットやイーロンのような大富豪が出る土壌ができ、日本の投資家のレベルが上がる未来が来るような気がしてなりません。

最後に、ポイントを整理。

①インフルエンサー投資には「情報の遅さ」、「情報の質のバラつき」がある。
②インフルエンサーの銘柄の真似ではなく「考え方」を追う
③情報の質の低いインフルエンサーの情報を避ける
④上がった銘柄情報に煽られず銘柄の質を判断する

以上を理解して、インフルエンサーの情報を活用していきましょう。

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