沖縄軍用地投資の話

投資関連(外国株以外)

今日は、不動産投資を始めるきっかけとなった「沖縄軍用地」のお話。
最近は少しずつポピュラーになってきたと思われる投資ですが、数年前は存在すらほとんど知られていませんでした。

私はが当時読んだ本。

お金持ちはこっそり始めている 本当は教えたくない! 「軍用地投資」入門

当時、Amazonのおすすめ本に挙がっていたのですが、不動産関連の書籍で「安い指値で購入!」みたいな本が並ぶ中、この本だけタイトルに異彩を放っていました。
直感で購入し、セミナーに出て、沖縄に行き購入、現在に至ります。

今日はそんな「沖縄軍用地」の概要と投資の相性がいい人を書いていこうかと思います。

太平洋戦争で激戦となった沖縄、当時の住民の気持ちを察するに、色々な想いの渦巻く土地なのです。

概要

沖縄では、不動産売買の一つに「軍用地」という土地の売買を見かけます。
これらの多くは米軍基地内にある土地の売買です。
(広い意味で沖縄空港用地や沖縄の自衛隊の基地も範囲に入るようです。)

元々は、沖縄に土地を持っていた人から土地を米軍が接収し基地(住居や施設)として使っているエリアを、先人が国や基地の所有者と交渉し地料(土地の賃借料)を受け取る仕組みが出来ました。
(この辺りの歴史は50年以上あり、詳しい本がいくつか出ていますので割愛します。)

ビジネスモデルとしては、「土地の賃貸借」。
賃借人は「国」と考えればわかりやすいと思います。
ゆえに、「空室リスク」や「債権回収コスト」は存在しません。

そんな沖縄の軍用地、沖縄在住じゃない方も不動産屋さんに依頼して購入することもできます。
(住民感情的な話を含めると、一部の方には県民として思うところはあるようです。
 一方、後述の通り「相続」などで、すでに沖縄県に居ない子孫が売却を決意というようなケースもあるようです。)

個人的には、全体を見て「ローリスク・ミドルリターン」の商品と考えます。

先祖の土地を手放す人がいるのか、という話がありますが、
「相続」や「事業」などでお金を要りようになった人が売却するような事例もあるようで、個々の気持ち次第なのかもしれません。

私は、上述の本をきっかけに「軍用地」の存在を知りましたが、沖縄県内にある新聞、「琉球新報」や「沖縄タイムス」、他にも車から見える広告の看板などで買取や販売の募集記事などがいくつも出ていて普通に流通しています。
(他の地域の米軍基地や自衛隊の基地の売買はあまり聞かないので、売買の多さは沖縄特有のものと思います。)

軍用地の特徴

軍用地の特徴を整理してきましょう。
投資物件としての価値を考えます。

①地料は年額で入る

家賃などのように毎月の収入にはならず、年1回(地料上昇で2回)の入金があります。
地主会に入ることで(任意)7月頃にお金が入るようです。

②担保価値は高い

沖縄では、軍用地の特殊性に理解があり、地域やエリアなどにより地料の○○倍(30~50倍)までお金を貸してくれるようです。

ただし、沖縄県以外の銀行での借入は困難であり、県外在住の人が借り入れをするのも若干大変なようです。

③利回りは年2%程度

大体地料は年2%程度です(すなわち、地料の50倍くらいで売られています。)
他の不動産ビジネスに比べると低めです。

なお、10年以上前は、もっと物件が安くて利回りの高いものだったようです。

そのため、銀行から上限まで融資を受けて購入すると、キャッシュフローはマイナスになると思われます。(後述、地料(連動して評価額)が上がり売却までの差し引きで概ねプラス)

④地料が上がるエリアもある

沖縄の土地自体が高めでありますが、軍用地の地料も上昇傾向にあります。
通常の家を賃貸するのとは違い、購入時より高く売れる可能性があることは安定性があります。

なお、伊江島飛行場のような地域では、地料が据え置かれ、キャピタルゲインの上昇を期待できないエリアもあります。

⑤確定申告の負担は少ない

①もそうですが、確定申告の手間は少ないです。
主にかかる支出は、固定資産税と所得税(住民税)と借入金の弁済(+利子)くらいで、地料も7月と3月の値上がり分の2回のみで、自力で確定申告ができるレベルだと思います。

他の不動産投資との比較

株式投資と比較しても仕方ないので、同じ不動産投資内で比較。

通常の不動産投資

通常の不動産賃貸業について、一般的には、

 ・借入によるレバレッジ
 ・物件を選べればインカムゲイン・キャピタルゲインともに期待できる

というメリットが言われています。

デメリットとしては、

 ・空室リスク
 ・安く買うには中古・比較的古いものを選ぶため修繕のコストがかかる
 ・レバレッジによるリスク

があります。

成功へ一番大切なポイントは、「良い物件を手にすること」に尽きると思います。
自分も不動産賃貸をやりたいのですが、物件が見つからず苦労しています。

「ミドルリスク・ハイリターン」で、スキルによる差が大きい。
といえます。

太陽光発電

太陽光発電も、かつてチャレンジしたことがあります。
空室リスクがほぼないと言った点では「軍用地投資」に近いものがあります。

一方で、太陽光発電ビジネスは、

 ・システムの劣化(修繕)と陳腐化(発電効率の低下等)
 ・固定買取期間経過後の扱いが難しい

などの問題があります。
最近は発電効率の上昇の一方で、固定買取価格も下がったため難易度は上がっていると思います。

スキルの差はないものの、安くシステムを構成するのにはある程度人脈などが必要で難易度は高めです。

軍用地投資

2つを考慮した、メリットデメリット。

メリット
 ・管理コストは要らない(修繕・空室リスク)
 ・融資は付きやすい(土地の担保評価が高い、ただ県外の人はOKを貰いにくい?)

 ・確定申告も一人でできるレベルの内容
 ・地料の上昇(売却時に価値が上がる)可能性

デメリット
 ・融資を受けると弁済の支出キャッシュフローはマイナス
 ・金利上昇で倍率が下がる可能性がある

どういう方の投資に向くか

当方も昨年初めから2件ほど小さめの軍用地を持っています。
感想としては、「安定感が高い投資」と思います。

特性ごとにどういう方が向くかのみ整理。

大体3点の活用できそうです。
①投資物件として
②返還後の跡地活用を見込んだキャピタルゲイン狙い
③相続物件として

①投資物件として

返還されない地域(嘉手納飛行場、嘉手納弾薬庫以北)などは、好みこそ分かれますが、「保有する価値」がメインになります。

表面利回りと地料の上昇割合を中心に検討する価値があります。

地料がいつまで上昇するかは難しいところです(伊江島飛行場などは今後上昇を見込めないかもしれません。)が、地料上昇する地域の方が有利です。

現金購入ならば問題ないですが、融資を受けて長期計画で物件を購入するとなると、相応の持ち出しが無いとキャッシュフローがマイナスになるため、定期収入のあるサラリーマンなどに向くと思います。
(ある程度成功した大家さんなどは不動産賃貸とセットにするのはひとつかもしれない。)

②返還予定の物件

返還予定の場合、立地が良くて一定の面積があれば、返還後に大きく期待できる土地になる可能性があります。牧港補給基地(キャンプキンザー)は、浦添市の一等地にあたり期待も大きいエリアです。

ある程度減歩を見込んだ規模の購入が必要になるため、借り入れをするにしてもある程度まとまったお金がないとはじめられないこと、借入すると①と同様キャッシュフローがマイナスになるため定期収入が無いと難しいと思います。

③相続対策など

土地の購入は相続対策で行われることもあります。
相続資産の多い方が、現金保有だと多くかかる相続税の回避のために不動産を購入する人もいます。その戦略の一つとして「軍用地」の購入も選択肢の一つになりえます。

伊江島飛行場(美ら海水族館から見える島)は、ここ数年前から地料上昇は期待できない物件です。
一方で、沖縄本島から離れた地域であるため、土地の評価(評価方法も若干特殊)は低く、そして一定の地料収入なども期待できることから相続物件として購入する人もいるようです。

具体的な計算は、書籍や各ブログなどで掲載している人がいるので今回は割愛。

まとめ

軍用地投資は、不動産所得に関する中では特殊性があります。

株式投資と比べるとリターンは少なめですが、管理・技術が比較的少なくて始められる、収入予想が容易というメリットがあります。一方で、借り入れをするとキャッシュアウトの対策は必要です。

地料の値上がりがどの程度続くかというリスクはあるものの、地域を選べば解決できリスクが低いものといえます。長期的に保有していけば、技術不要で一財産を築けるくらいのものではないかと思います。

個人的な見解として

 ・定期収入があるなら、地料上昇を望める地域を融資で
 ・返還後の土地利用を期待し購入(それでも10年以上待つことが想定される)
 ・相続対策として評価額を見て現金購入

という活用法が想定されると思います。

特にサラリーマンだと定期収入があり、

 ・融資を受けやすいこと
 ・キャッシュフローのマイナスを対応可能
 ・(独立を目指すなどしない限り)長期間収入があること

から、不動産貸付業だとうまく立ち回れない人にもチャレンジしやすい内容であるといえます。
そして、市場の金利の低さから現実的な利回り(年2%程度)を得る手段としては適正です。

投資手段の一つに検討する価値はあると思います。
以下の書籍を一冊読んでみると、発見があると思います。

参考書籍

お金持ちだけが知っている! 軍用地投資入門  

著者の仲里氏の新刊が明日出ます。
ふと、当時を思い出しつつ記事にしてみました。

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