ワクチン提供も後回し、「氷河期世代」の不遇

ブログ(その他)

今週のニュースで、東京都で「若者用のワクチン接種会場」が設置されるようになる話がありました。
60代以上は、概ね希望者にワクチンが行くようになった現在、今度は若者に打つように政策が進もうとしています。

そして、「40~50代の働く世代の健康を後回し」にしようとする姿に、その世代で度々生じた「氷河期世代の不遇」を再び連想してしまいました。

同様に感じた人は居たようで、Twitterで「氷河期世代 ワクチン」と検索するといくつもツイートが出てきました。

さて、そんな「氷河期世代」の話を久々に。

就職氷河期世代とは

「就職氷河期世代」「○○世代」というキーワードを聞いたことがある人ならほぼ100%知っている言葉かと思います。

一応定義について。

就職氷河期世代と言われる年代は、「1970年(昭和45年)から1982年(昭和57年)あるいは1984年(昭和59年)までに生まれ、1990年代半ばから2000年代前半に社会に出たり、2000年前後に大学を卒業した世代」の人を指します。(Wikipedia「就職氷河期」)
若干の世代の定義にブレがありますが、2021年現在で概ね40代くらいの人を指します。

「ロストジェネレーション世代」又は「ロスジェネ」と言われることもあります。

この世代は、バブル景気のツケから社会に出る頃に採用数を絞られていて、正職員の求人がものすごく少ない世代でした。

後述しますが、学部生で卒業した私の同級生や先輩方くらいの世代がこれらに該当し、派遣職員などで食いつないだ結果、40代にジリ貧になっている姿を見受けます。

私もギリギリこの世代なのですが。就職は大学院にいて数年遅れたため、同期よりだいぶ負担の少ないものとなったので救われた方に該当します。

jじ

キーワードは「自己責任」

就職氷河期世代がよく言われた「自己責任」というキーワード。

「正規雇用で就職できないのは本人の問題」という「自己責任論」が展開されました。

ただ、10年早く生まれていればバブル世代と呼ばれる有効求人倍率が2倍を超える環境で採用試験を受けていた時代であることから考えて「自己責任」というのはいささか釈然としないものを感じます。やはり、氷河期世代全体の実態としては「不遇」といっていいのではないかと思います。

最初に正規職員になれなかった人たちは、

   正規雇用で就職ができない
 → 技術を身に着けられない
 → 中堅層の年代(40代くらい)でも専門的な業務やマネジメントができない
 → 収入が上がらない

というライフステージを崩された労働者を大量に生み出しました。
もし仮に正規職員で入社できても、労働者の買い手市場だったため、会社では「パワハラの横行」「低賃金」「サービス残業」、総じて「ブラック企業」という、現在でいうところの「SDGsを真っ向から否定する時代」でした。

もちろん同じ世代に経営者、スポーツ選手では世代的に成功者がいないわけではありませんが、人口の5割強が労働者である国(6737万人)で、正規雇用が少ない世代は割を食うのは言わずもがな。
比較すると割を食っている世代といえます。

4年ほど前の記事ですが、旭化成の小堀秀毅社長が「40代前半の層が薄い」という発言で、氷河期世代を間接的に批判し話題になりました。
当時の記事は消去されましたが、まとめ記事などで残っています。
https://news.careerconnection.jp/news/social/44419/

「当社では、30代後半から40代前半の層が薄くなっています。2000年前後に構造改革で採用を極端に減らしたためです。その世代が中間管理職として一番パワーをもたないといけない時代にさしかかってきました。キャリア採用もしていますが、なかなか人が集まりません」(2017.12.8朝日新聞 旭化成 小堀秀毅社長のインタビュー記事)

当方も学部卒ならば似たような環境になっていたため、こういう記事を見ると何とも言えない気持ちになります。

40代の「ワクチン後回し」事件

そんな中、2021年8月20日。
東京都で「若者に対するワクチン接種」を進めるため、渋谷に会場を作るという記事がありました。

ここに該当する世代は16歳~39歳
200人程度なので小規模ではあります。

恐らく、自宅療養中の妊婦の死亡事件をきっかけとした策と思われますが、今まで年配から打ってきたワクチンを若者に優先するという方法を取るようになったという見解を示したという点で大きなニュースといえます。

妊産婦とその配偶者を優先してワクチン接種をすること自体は賛成ですが、対応は「(妊産婦とそのパートナーに依らない)年代別のワクチンの優先接種」でした。今まで「年上の人が死亡リスクが高い」という説明で我慢してきた40~50代の人は「若者」に該当せず、接種を後回しにすることに。
ここに当てはまる年代が「就職氷河期世代」であったことから、ちょっとした波紋が生まれています。

というツイートや、

という悲観的なツイートが聴かれました。

このように、「また氷河期世代は後回しか」と嘆く声。

2018年頃、政府で就職氷河期支援プランというものが出て、遅まきながら対策を始めたようですが、新型コロナウイルス感染症関連で形骸化、そして新型コロナウイルス感染症で事業者に配布したお金に比べてとても薄い内容であるように思えます。

特定の世代を見捨てたツケは必ず帰ってくる

このように、政府が特定の世代を「自己責任」として徹底的にいじめ抜いた結果は、将来の自分の国に跳ね返ってきます。

わかりやすく将来見込まれる影響として、

 ・特定世代の生産力の減少
 ・技術的な継承が困難になる(旭化成の社長がいうような話)
 ・税収減(生産力の向上と連動)
 ・子育てする余裕がなく産めない、人口が増えない(将来の労働力が減る)
 ・社会的費用の増加(生活保護費などの給付)

というような自国の国力を弱らせることに繋がります。

コロナで支援もワクチンも後回しでダメ押しをした結果、世代全体が40代以上になってしまった今、もう手遅れかもしれません。
将来の国力低下と人口減の一番の原因は「氷河期世代の冷遇」なのかもしれません。

まとめ

ワクチン後回し問題を単体で見ると、医療機関やキャンセル枠、自衛隊接種などをくまなく探せば接種できたかもしれません。(自分もどうにか8月中に1回目の接種を見込んでいます。)

しかし、これも「自分で動けば取れるだろ」という言葉で片づけている点で、「氷河期世代の自己責任論」に共通している不憫さを感じます。

「ワクチン後回し」なんて氷河期世代冷遇の一部に過ぎません。
就職氷河期世代の不遇からのまとめ4点。

 ・就職氷河期世代は「就職」「技術向上の機会損失」などで冷遇され続けた
 ・政府は(今の与野党政権ともに)「自己責任」としてきた
 ・そして最近まで問題としてすら取り扱ってこなかった
 ・世代が40~50代になり、社会的な影響を及ぼす未来が明確になってきた

最後には、今までの世代にはあったはずの制度がなくなるかもしれません。
例えば、彼らが60代になったら「(財源不足で)生活保護を受けられない」などの法改正ができるかもしれませんね。

明るい未来を感じません。

逆に、だからこそ、自分も「自己責任」で乗り越えたい。
乗り越えて何かをしたい。
我々氷河期世代で助かる方法は無いか、常に考えたいと思っています。

だって悔しいじゃん。

同じ努力量で、就職時期まで同じ結果を出してきたのに、年齢や世代が違うだけで同じ成果をもらえないのを外部からは「自己責任」といわれるのだから。
いつか成功して見返してやりたいと思う。

コメント

タイトルとURLをコピーしました