「献血」と「売血」考

リュウです

 

今日は家でのんびりします。

娘と近場に出かけてこようかと。

 

先週、献血へ行ってきました。

献血はご存知の通り、無償(記念品はもらえますが)で血液を提供し、困っている人のために医療で活用してもらう制度です。

後述してますが、当方、若干レアな血液型なので、年1回目安に献血へ行くようにしています。

 

一方でタイトルにある「売血」とは、広く捉えれば1975年くらいまで行われていた制度で、血液を売る制度です。

現在「売血」は違法です。

 

でも、今の管理体制なら「売血」も一つの選択肢ではないかと思います。

そんな辺りを、今回の献血をしながら考えていました。

 

というわけで、今日のテーマは「献血と売血」について。

 

※献血の記念品1(2019.9)

 今は献血でこんな記念品がもらえます。

 (この作品は観たことがないのではありますが・・・)

 

●もくじ

1 献血へいってきました。
2 血液が不足している
3 売血とは
4 売血制度の問題点
5 解決策

1 献血へいってきました。
年1~2回、職場のそばに献血車がくるので、血液を提供してきました。

27歳くらいから年1回目安(献血車が来たとき)に提供しています。

個人的には、現在、大金持ちでない自分が出来る寄付の一つだと思っています。

私の血液は、O型Rhマイナスという若干レアな血液型(目安670分の1らしい)なので、足りないときは足りないようです。

そのため、可能な限り来た時は参加していて今日11回目。

業務が忙しかったので、終わり寸前に行きました。
スタッフさんがいうには、今日1日で46名。

なお、記念品でもらったもの。


※献血の記念品2(2019.9)

 

 

2 血液が不足している

血液の寿命は、日本赤十字社によると、赤血球液だと21日、
ほかのものは最大で4日程度のようです。(参考サイト

したがって、採血して、すぐ使わないと駄目、保管も難しいようですね。

少々古い論文ですが、「全血献血で 1,000 人当たり献血率は アメリカが 85 件,イギリス 44 件,日本 29 件(成分を 併せて約 42 件)で日本はいわゆる先進国ではかなり低 い」ようです。(※引用元

この数字からも明らかなように、日本人は世界的に見ても献血後進国といえます。

 

上述の論文を読んでもらうと分かるとおり、諸外国では、大学進学の際などのポイントとして献血を取り上げられる要素があるようです。

 

個人的には、金銭以外のメリットを提供する方法で献血を増やそうとするならば、献血も、ボランティア活動と同等に評価対象にするべきだと思います。

日本人は、おもてなしの精神はあるようですが、寄付の精神はあまりありません。
(なお、寄付の中では知名度の高いふるさと納税は返戻品目的の寄付がメインとなり、純粋な寄付とは言い難い面もあります。)

個人的には時代的にも世界の潮流的にも逆行しますが、少子高齢化により献血人口もさることながら献血可能人口が減っていること、はっきりと足りない状況な以上、日本赤十字社が管理した上で「売血」をすることも一つなのかなと思っています。
 

 

3 売血とは
さて、ここからがメイン論点。

売血制度とその活用の可否についてを考えて行こうと思います。

 

売血とは、1960年代くらいまで行われていた制度(1975年頃には完全に消滅。)で、献血とは異なり、血液を提供する見返りにお金をもらう制度でした、現在は違法行為となっています。かつては、生活に困った人を中心に、献血でお金をもらう人が多くいたそうです。

(いくらくらい貰えたかは、資料が無かったのでなんともいえません。)

血液を抜きすぎて赤血球不足から血液(血漿)の色が薄く黄色になるような状態の方もいたそうです。
また、民間で血液銀行というものがありました。(色々と事件になりました)

従って、かつてはボランティアではなく血液産業という事業があったわけですね。
いかんせん、現在も医療機関が血液を購入する場合、このように高額の費用を支払っています。(参考サイト

どの血液がどのように使われているのかは、医療従事者ではないので不明ですが、400cc献血により最低18,000円の市場価格(という言い方が適切か不明ですが)がつくわけです。400ccで、1回5,000円提供しても、恐らくおつりが来るのではないでしょうか。

 

対応して、医療報酬の点数も高めです。結局、輸血は無料ではなく、社会保障費が投じられているわけです。

当方は売血が存在する時代を生きたわけではないので事実か不明ですが、暴力団の資金源にもなっていたという話もあります。
また、不健康な人が血液を提供して、肝炎などが広まった原因になったようです(以下の「ライシャワー大使事件」等)。

では、売血制度がなぜ現在なくなった(違法となった)のか。
時流が変わったのは、かの有名なライシャワー事件があった時です。

ライシャワー事件は以下のとおり。(参考サイト

 

・昭和39年3月24日正午頃、エドウィン・ライシャワー駐日アメリカ大使(53)が東京・赤坂の大使館の裏玄関から車に乗ろうとした時、刃渡り16センチのナイフを持った工員風の少年に襲われ、右大腿を刺され負傷し多事件

・その時に日本で輸血を受けたが、輸血した血液により肝炎を発症

・世界的に日本の医療用血液の信用が失われた

これを期に、国でも見直す必要があり、1970年代中盤には献血の制度に統一することになりました。
なお、ライシャワー事件以前は、「日本での輸血=肝炎のリスク」は当たり前の認識だったようです。

4 売血制度の問題点
問題点を整理しましょう。

いくつかのサイトを整理して当時の問題点を洗い出すと以下のとおり。

●問題点
・成りすまし等を含め、短期間に複数回の売血を行う
・複数回売血することで血液の質が低くなる
・注射針の再利用等の衛生面の問題
・暴力団の資金源(?)
・倫理面?

大きく分けると衛生面、暴力団の資金源(本当にあるのかな?)、倫理面の3点。
 

リスクを解決できれば、多数の供給者から協力を得ることが出来、患者にとっても医療環境にとってもメリットあります。

5 解決策
個人的に、世界の時流は逆向きではあるものの、売血も一つの手段になるのではないかと思うようになったのは、

①衛生面の問題は、民間の血液提供制度を廃止して、赤十字社が管理して解決に近いレベルまで来ている
②顔写真、本人確認証明(しかもICチップ付)が多数ある

の2点で、個人の特定について管理しやすくなったこと。

それでは、解決策をそれぞれ考えて見ましょう。

・衛生面と成りすまし問題(本人確認)
本人確認書面として官公庁・民間問わず使われている、免許証とマイナンバーカードを利用。

本人確認を行えていれば問題なく出来ると思います。

(政府もマイナンバーカードを普及させたいなら、こういう活用を考えても良いかも?)

 

免許証普及率は持っていない世代の若者世代(20代以降)ですら、9割程度です。
参考:免許証普及率

免許証持ってない方も、本人確認で必要になるため、マイナンバーカードを持つ方もいると思います。
両方持っている方はそこまで居ないと思いますが、どちらかを持っている人で95%は超えるのではないでしょうか。

それぞれの有するデータ

・ICカード免許証(参考サイト
・マイナンバーカード(参考サイト) 

免許、マイナンバーカードの共通する、氏名、生年月日、本籍地情報を取得可能です。

(マイナンバーカードは住民票コードと連動させれば可能)
この情報をデータベースで照会し、顔写真を確認。

確認できた人のみ「売血」を選択可能。(「献血」は現行の条件で確認可能。)

 

手順としては、

① 氏名、生年月日、(本籍地、)顔写真とパスワードで本人を特定
② 前の献血との期間、既往歴など確認し、献血(売血)

③ 対価を支払う(「献血」と区別するため記念品は無しで良いと思う)

そんなにやることは、現行の献血と変わってないんですよね。

①を厳密にどれくらい出来るかだけです。

 

血液の管理は民間に依らず、現行と同様に日本赤十字社に任せられると思います。

 

・若者世代(免許を持っていない世代)について

免許証については10代の普及率が低いため、16歳から18歳(目安として大卒22歳くらいまで)売血はしづらいため、一部の世代は献血人口が減る可能性がありますが、売血による血液提供者の人口は増えると思います。
また、未成年については民法上の契約の問題も絡んでくるので成年の20歳(今後18歳)までの方は、従来の献血カードで献血の制度を併用すればいいと思います。

 

民法上、未成年の方々は契約面でも色々厄介なので、未成年の売血は不可能(又はかなり困難)といえます。

 

ただ、メリットはいくらでも提供できると思います。

上述の通り、進学の査定でボランティア活動に匹敵するくらいの評価をしても良いと思います。

 

逆に、「献血が進学考査の評価にならないほど地位が低いことそのもの」が、国際的に恥ずかしいことではないかと思います。

 

・暴力団の資金源(?)
暴力団関係者かどうかは元々確認していませんし、斡旋もなにも駅の前にいって献血するだけなので、暴力団が介在する余地は少ないと思っています(色々な手段が隠されているかもしれませんが・・・・)

 

現在では、暴対法などもあるため、献血(売血)の際に、契約などにある「暴力団とは無関係です」チェックをさせる程度で。

・倫理面の考察
倫理面については、自分も若干思うところがないわけでもありません。

 

しかしながら、血液が足りず人が死んだり、病状を悪化させるのを良しとする倫理を守るなら、比較衡量をする価値はあると思っています。
少子高齢化社会の今だからこそ、資本主義経済(社会貢献→金銭の提供)に訴えて、血液を集めるのも一つの解決策なのではないかと考えます。

●まとめ

以上の点からも、献血と売血は、今ならば日本赤十字社管理の下でならば、併用する選択肢があってもいいと思っています。

完全とは思っていませんが、50年前とは大分事情も変わってきていると思います。

選択制にするのは、「売血を希望しない方は献血」というスタンスがあってもいいでしょうから。

また、上述の通り、進学考査で使っても良いと思います。

献血に対し若い頃から意識を向けさせるのは、献身的な心を養う意味でも教育的な価値があります。

 

他にも、400ccで5,000円分、日本赤十字社への寄付とみなして所得控除(寄付金税額控除)をしてくれたら面白いかもしれません。現在でも、日本赤十字社への寄付は、一定条件で寄付金税額控除になるのですから。(参考サイト

 

寄付金控除の適用なら自由選択ですし、倫理観の問題と暴力団の資金源の問題は解決するかもしれません。

血液不足を解消するために、色々対策を立てることは可能です。

立法府の方々にはがんばってもらいたいものです。

 

整理すると、

・献血人口が減っている(そもそも少子高齢化で減っている)
・献血が無理なら売血を選択肢に入れてみる
・現代ならある程度、個人を特定できるので対応も可能・若者には社会貢献として進学などで評価してあげれば需要が上がるとおもわれる

・献血で寄付金控除に相当する税制があればより良い

等々、献血人口を増やす方法はいくつかあると思います。

とはいえ、世界の潮流として「売血は違法」は崩しようがないので、当面変わることは無いでしょう。
また、立法府も、血液不足による社会問題でも生じない限り、動くことはないでしょう。

(どうみても票にならない活動ですし・・・)

 

したがって、当面は献血で対応せざるを得ません。

 

手前味噌ながら、献血しない人も多いこのご時勢、時間と優しさを提供してくれている献血する方は貴重な存在です。

(赤い羽根をつけている公人、メディア出演者はたくさんいますが、献血カードを見せる機会はあまり無い。)

 

原点回帰になりますが、困っている人を救うために、献血(血液の寄付)にご協力をお願いします。

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