「いくら稼げばサラリーマン時代の年収を超えられるか」の話

起業・独立・マインド

先日、転職の話をしました。
どうにか叶えたい目標なので、色々と研究。

転職→独立を目指していく人が、

「サラリーマン時代(又は前職)の年収(収入)を超える」

という目標を立てる方がいます。
(もしくは、超えた時に宣言する人を見かけます。)

転職ならば「サラリーマン同士の比較」なので額面で比較しやすいのですが、
個人事業主の場合、結構基準があいまいです。
どの程度の収入で「サラリーマン時代を超えた」と言えるのかを考えてみたいと思います。

今回は、生涯賃金から自営業とサラリーマンの比較をしてみたいと思います。

手取りや必要経費の概念で給与と事業所得は大分異なってきます。

生きるにはある程度のお金が要る

仕事を辞めて自由に暮らす、独立して事業を起こしたいなど夢を持つことは大切です。
一方で、生きるためにはある程度のお金が必要になります。

また、サラリーマン状態と自営業では生涯収入の仕組みが異なります。

サラリーマンは、

 ・給与が出る
 ・ボーナスが出る
 ・(終身雇用制の職場なら)昇給がある
 ・退職金が出る(個人事業主も所得上は存在するも自身の積み立てです。)
 ・再雇用がある(2030年頃には65歳退職になります)

というような特性があります。

対して自営業は、

 ・成果次第で収入が増える

という点が大きく、逆にネックでもあります。
良くも悪くも「自分の働き次第」なのです。

つまり、20代で億を稼ぐことも可能だし、60歳でも年収100万ということもあり得るでしょう。

終身雇用は少ないが無くなったわけではない

非正規雇用の多用などで、サラリーマンの待遇が悪くなっていく中、終身雇用制は大分廃れたもののまだまだ存在ます。つまるところ40年くらい勤務して退職金を数千万もらうような人が未だに少なからずいます。

割と大企業や公務員などはそのような傾向にあるように思います。

そのため会社の制度によっては、1で書いた通り、毎年少しずつ昇給し、ボーナスをもらい、数十カ月分の退職金をもらって老後を迎える。
という選択肢も可能かもしれません。

(そういう雇用を悪しきものと思うわけではありませんが色々な問題が内在します。)

そこで次項では、「終身雇用制度のある会社で定年まで勤務する」のと、「40歳で辞めて自営業で稼ぐ」のとどちらが生涯収入を伸ばせるかの目安を考察してみたいと思います。

比較してみる

(1)定義付け

今回の計算、終身雇用制度を前提にするとはいえ、モデルケースを作りにくいものとなります。

なぜならば、

 ・サラリーマンの年収(給与)は線形で増えるわけではない
 ・自営業も業界によって利益率がバラバラ

というような点を考慮する必要があるからです。

そこで、モデルケース作成にあたり、

 ①給与は線形で伸びる(22~60歳)
 ②60~65歳は固定給与
 ③個人事業主の粗利は業界別に考慮しない(というより諦めました。)
 ④サラリーマンの収入総額から、サラリーマン・個人事業主の手取りの割合を利用して計算

という手順で考えました。

(2)モデルケース

では、40歳で退職した場合、自営業でいくらくらい稼ぐとサラリーマン時代の収入を超えるか。
を検討してみましょう。

・初任給 月収22万 → 退職時 月収60万
 (60歳時点で38年勤務、年1万昇給とします。)
・就職年齢 22歳
・退職年齢 60歳、以降は給与は60歳の5割、30万まで減少見込む
 (2025年以降退職なので65歳ですが、給与は下がると推測。)
・ボーナス 年4カ月(業界や景気に左右されますが参考程度)
 → ボーナス込みで年15カ月分の給与
・退職金 60歳支給時の38カ月分
 (このサイトによると38.3カ月が目安のようです。)
・60~65歳の退職金は考慮しない。

という前提で計算していってみましょう。

① 生涯年収(参考)

 ・年収合計(60-22)年×60万円×16カ月÷2=18,240万円 -A
 ・退職金 60万×38カ月=2,280万円 -B
 ・65歳までの給与 (65-60)年×30万円×16カ月=2,400万円
  生涯年収 A+B= 22,920万円(2億2,920万円)

昔は、60歳まで勤務して2.5億と言われていた生涯賃金ですが、2.3億程度になりました。

今の日本では将来十分あり得る範囲。ここから税金等が引かれていくのだから厳しいものです。

② 40歳で退職した場合

モデルケースを40歳にした場合。
ここで退職し独立、自営業となった場合を想定します。

退職時月収が40万、退職金はせいぜい15カ月くらい貰えればよい方でしょうか・・・。

 年収合計 (40-22)×40万円×16カ月÷2=5,760万円 -A
 退職金 40万×15カ月=600万円 -B
 生涯年収 A+B= 6,360万円 

③ 40歳以降自営業で必要となる金額

最後に、サラリーマン継続と個人事業主の損益分岐点とでも言いますか。
個人事業主がいくら稼ぐことで「サラリーマン時代の収入を超えたか」を検証。

まず、自営業と会社員で手取りが違ってきます。
そこで、サラリーマンと個人事業主の手取り年収を比較・考察しているサイトを参考に算定しました。

上記サイトでは、

1000万円の年収があった場合、

 サラリーマンは740万円(74%)
 個人事業主は669万(67%)

手残りがあると推計しています。  

そこで、
サラリーマンの収入を手取りにしたうえで、その手取額を個人事業主の収入で必要な額に変換します。そうすれば「サラリーマン時代の(手取り)収入を超える収入になった」と言える一つの目安になると思います。

(40~65歳までの年収)×(サラリーマンの手取り割合)÷(個人事業主の手取り割合)=個人事業主で同額となる年収

と計算しましょう。
そうすると、

①-②= 16,560万円(1億6,560万円)
(収入差=40歳~65歳までの年収)

16,560万円 × 74% ÷ 67%=18,290万円

となります。

40~65歳まで25年あるため、

18,290万円 ÷ 25年 ≒ 732万円

となります。

したがって、「40歳で退職した場合、平均で年収732万円を超えることでサラリーマン時代の収入を上回る」という目安になると思われます。

まとめ

終身雇用制度がある職場も、減っているもののある程度存在する我が国では、サラリーマンでいるか、独立するかの収入差を検討する必要があります。

今回は退職して独立した場合にどの程度収入があればサラリーマンを超えることが出来るかを考察しました。

結論としては、「年収732万以上稼ぐこと」が一つの目標になるようです。

とはいえ、初任給、昇給、ボーナス、退職金、そして個人事業主の利益率など、不確定なパラメーターが多く、モデルケースを作りにくいものなので、参考程度になります。

個々で当てはめることはできると思うので、手順だけ最後に整理。

・自身の会社の生涯賃金を概算
(昇給は読みづらいため、定年退職の方の月収などから昇給を概算するしかありません)
・サラリーマンの手取りに変換後、個人事業主の年収に割り戻す
・残りの勤務年数を割り返し、個人事業主の場合に必要な年収を出す
 (できれば業界の利益率で手取りを計算できるのが望ましい。)

退職を目指す人は参考にしてもらえれば幸いです。

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