最近、「バリュー株復権」や、「(そんなことを言う人もいるが)グロース株がいける」などの切り口語る人がいます。
私はのんびりと新興国のバリュー株投資から始めたので、Twitterなどでもバリュー投資を切り口に語ります。
とはいえ、個人的には投資した株価より上がる銘柄を探しているだけです。
つまるところ「グロース株投資も、バリュー株投資もひとつの判断基準に過ぎない」のです。
定義を落ち着いて考えると「バリュー株」と言いながらも、高成長を続けている銘柄があります。
これをバリュー投資と言うべきか、グロース株投資と言うべきかちょっと迷ったので今回一旦調べていることにしました。
結論からいうと、「ある程度両立する」と思っています。
目次
グロース株・バリュー株とは
まずは言葉の定義を考えてみましょう。
グロース株
グロース株は、「売上や利益の成長率が高く、今後も高い成長が見込まれる銘柄」です。
売上高の成長率(年平均、四半期平均)、PSRなどを指標に使います。
決算のアナリスト予想を超えたかが評価指標に使われるようです。
銘柄の特性として「テーマ」に基づいた投資であることが多く、将来が期待される華やかな銘柄が多いです。
バリュー株
バリュー株銘柄は、「株価が割安に放置されている銘柄」です。
主な指標としてはPER(株価/1株利益)やPBR(株価/1株純資産)などが低い銘柄を対象とすることが多いです。
比較的老舗の企業に多く、概ね地味な銘柄。
一定のEPSを出しているが株価としては弱めな銘柄が多いです。
決算は、グロース株ほど重視されません。(全く無視されるわけではない。)
それぞれの特性とキーワードを比較
「グロース株」、「バリュー株」とある程度の概念はあるものの、考え方人により若干異なるようです。インターネットで調べた意見を集約すると以下の通り。
グロースとバリューは両立は可能か
キーワードだけで考えるならば、両立可能。
ただ、「高成長で、利益を出し、かつ割安(不人気)の銘柄」という難しい条件を満たす必要があります。
情報化時代にそんな銘柄が長期間放置されているかという問題はありますが、私が投資しているベトナム株(新興国)などは割と低PERで、高成長銘柄が残っているように思います。
試しにグロース株・バリュー株を、数値で考えてみましょう。
米国株は、よくTwitterに上がる有力銘柄で個人的に気に入っているものを挙げました。
(そのため、これより良い成長率を出す銘柄もありますし、悪い銘柄で上場している銘柄もあります。)
バリュー株は最近個別銘柄を調べる余裕がなかったので、先日紹介したベトナム株の有力銘柄を例示。
グロース株
上場したての企業だと、古い財務諸表を個別で集めるのが大変なのでわかるところまでで検索。
調べてみると、IPO直後は資金を集めて費用を支出している企業も多い時期なので、グロース株のEPSはあまり判断基準にならないように思います。
売上高の成長率:(現在の売上高/比較年の売上高)^(1/年数)
・ZM(ズームビデオ)2017~2021(1月決算)
売上高 2,651,368/60,817 年156%成長
EPS 2.25
株価 326.26
・ZI(ズームインフォ)2018~2020
売上高 476,200/144,300 年81%成長
EPS ▲0.11
株価 48.84
・SQ(スクエア)2016~2020
売上高 9,497,578/1,708,721 年53%成長
EPS 0.44
株価 224.84
・U(ユニティソフトウェア)2018~2020
売上高 772,445/380,755 年42%成長
EPS ▲1.66
株価 100.53
・PLTR(パランティア)2018~2020
売上高 1,092,673/595,409 年35%成長
EPS ▲1.28(20年の4四半期の合計)
株価 24.32
・DRVN(ドリブンブランズ)2018~2020
売上高 904,200/492,715 年35%成長
EPS ▲0.04
株価 23.94
バリュー株(自分が見つけた銘柄:ベトナム)
・ABI(正味保険料で比較)2015~2020
売上高 1,673,008/684,860 年19%成長
EPS 7,953
株価 44,000
・WCS 2015~2019
売上高 259,028/164,531 年12%成長
EPS 22,459
株価 221,400
先日ブログに書いたDSNの成長率はイマイチだった(年6%)ので対象外。
バリュー株の方が売上高の成長率に劣るのは明確でした。
検証
流石に、華のあるIPO銘柄に年間成長率で勝つことはできないようです。
ZM(ズームビデオ)等と比較するのにはさすがに無理があったか・・・。
ただ、グロース株とバリュー株が両立しない、という結論は若干浅いと思っています。
要は、「グロース株と同等に株価が上がるか」が大切なので、どういうときにバリュー銘柄の株価が上がるか考えてみましょう。
バリュー株の株価を決めるのは、売上高の成長以上に、(将来を含めて)どれくらい利益を出せるかどうかがポイントだと思います。
グロース株は将来の売上高や利益が期待できるから、売上高の成長から将来の利益を予想します。
そのため、EPSがマイナスやものすごく低くても買う価値があると多くの人が判断するわけです。
一方、バリュー株は現時点で利益が出ている会社が多く、EPSが低すぎる(転じてPERが高い)と評価対象になりません。現在(から比較的近い近い将来)の利益に対し投資をする方法です。
(なお、バリュー株にはPER(収益面)ではなく、PBR(解散価値)を期待した投資もありますが、現在はあまり現実的ではありません。)
そこで、グロース株のようにふるまうバリュー株の条件を予想。
・売上高の増加速度(グロース株優勢の今だと、年平均+15%くらい必要かも。)
・売上高と利益で利益の方が成長しているか(売上が増えても利益が増えないバリュー株は厳しい)
・売上高に対し営業キャッシュフローが大きいか(営業キャッシュフローが増えているか)
この辺りに注目していけば、グロース株ほど売り上げは伸びないですが、
・EPSが伸び
・バリュー株(低PER)のままでもEPSに応じた株価になる
と思われます。
まとめ
結論はシンプル。
「バリュー株でも、グロース株ほどではないが高成長を期待できる銘柄はある」ことです。
・・・とは言うものの、今のところは金利もまだ低く、良いグロース株を選んだ方がバリュー株より良いパフォーマンスを出せそうな気がします。
一方、パフォーマンスはIPOのハイパーグロース銘柄ほど期待できませんが、バリュー株でも一定の成長をする銘柄はあり、ハイパーグロースより低いリスクを担保し、相応のパフォーマンスを期待できると言える銘柄に投資する手段はとれると思います。
今回、調べていて数値で比較しにくかった銘柄もあります。
ロイヤルティファーマ(RPRX)のようなキャッシュフローの特化された銘柄があることです。
売上高の成長やEPSの大きさで比較することが困難です。
こういう銘柄が将来増えてくるとするならば、グロース・バリューで評価しきれない優良銘柄が出てくるかもしれません。
最初にも書きましたが、「グロース・バリューなんかより株価が上がる銘柄を見つけられれば良い」ので、バリュー全盛か、グロース復権かなんかに拘らず、良い銘柄を見つけ出すことに注力すればよいと思います。
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