隣人の運用成績の良さが気になったら読んでみて

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今日は駄話。

書くネタもそこまでないのというのもありますが、上昇相場で時々周囲の成績を見たときに心動くことがあったので、自分を冷却するためにもこの記事を書いてみました。

あなたの周りで稼ぎ続けていて、無敵の成績をSNSなどに報告しているような人がいませんか?

Twitterなどを見ていると、「その利回りなら、いつかフォーブスの長者番付に載るような成績では」という内容の人もいて、信じられませんでした。

今回は、敢えてそれが本当であるとして、

 ①なぜその利回りが出せたのか
 ②実際にその利回りがどれくらいすごいのか

を考えてみましょう。

驚くべき好成績、しかし彼の成績が実際にあなたの想像通りかはわかりません。

あなたは年利何%くらい稼いでいますか?

Twitterなどの株式でのコメントを見ていると、そこそこの頻度で「○○(ティッカー)が上がった」とか、「3か月で200%稼いだ」というようなツイート、プロフィールを見る人がいます。
それに比べて「自分は○○%か・・・低いなぁ」と思ってしまうような人がいます。

個人的には、下手にリスクを取るより、運用利回りが低くても着実に増えればそれなりの結果を出すことができると思っていますが、それでも気になってしまうものです。

インフルエンサーが語りたいとき

全員が全員ではありませんが、彼らのツイートを観つづけると「百戦百勝、向かうところ敵なし」のように見えるかもしれません。

これらは、一部のフォロワーを稼いだりアフィリエイトに誘うような方もいないわけではないですが、極端な事例以外「嘘は言ってない」と個人的には思います。

では、本当だとしてなぜそんな利回りが出るのでしょうか。
これは仮説ですが、

 ①利益を出しているが損失も出している
 ②特定の資産に対しての利回りを語っている
 ③特定の期間に対しての利回りを語っている

などが想定されます。

①利益を出しているが損失も出している

これが一番多いと思います。
勝ったシーンはツイートしたいが、負けたシーンはツイートしたくない(する気も起きない)と考えます。

例えば、実際には銘柄単位で見ると負けたものも少なくなく、合計では年+10%だったのかもしれません。

②「特定の資産」に対しての利回りを語っている

もう少し具体的に。
負けた銘柄について語りたくないし、買った銘柄は自慢したい。は共通。

自分も、今年は米国株メインなのに、ベトナムのアグリバンク保険(ABI)が並外れた成績を挙げたので語りました。あの銘柄だけならば、今年は+70%になりました。
一方で、米国株はプラスマイナスゼロ(今年買った銘柄だけならマイナス)なので、並より今年は当たった、程度のスコアに落ち着いています。

したがって、勝ちにスポットを当てた結果、「百戦百勝のインフルエンサーさん」が出てくるわけですね。

③「特定の期間」に対しての利回りを語っている

銘柄ではなく「期間にスポットライトを当てる」ケースもあります。
例えば、運よく3か月で+30%稼いだとします。

「3カ月で30%プラスでした!」

というツイートには嘘はありません。
でも、読む側が、

「12カ月なら120%!!すごい!」

と捉えてしまうかもしれませんが、実際のところ必ずしもそうではありません。
実際はその前後でマイナスで、年間では+10%だったかもしれません。

④複合的に考えることも・・・

これらを複合して考えると、より「無敵の成績」のようなツイートが発生します。
例えば、30銘柄を買って、そのうちの1銘柄が3カ月に4倍になったとしても

「3カ月でXX(ティッカー)が4倍になりました!」

というツイートをするかもしれません(一応、嘘ではない)。

⑤もちろん本物もいる

実際に並外れた運用成績を上げている人もいると思います。

ただ、これが未来永劫続くものであるか。
今年は運よく良い成績だったが、それが死ぬまで勝ち続けられるかと考えてみると難しいと思います。

次の項で、実際に「勝ち続けることがいかに難しいか」を考えてみたいと思います。

その運用成績で、死ぬまでにいくらくらい稼げるの?

現在、フォーブズの億万長者ランキングをみると、
1位がジェフ・ベゾス(amazon創始者)の2010億ドル(約22.9兆円)です。

そこまではいかないまでも、もしかしたら「1兆円なら稼げるかも」しれません(と、敢えて言ってみよう。)
日本でも一定数、1兆円以上の資産を持つ方がいます。

そこで、運用成績から1兆円を稼ぐために必要な原資を計算してみましょう。

人生90年として、20歳から運用を始めるものとします。
期間は70年。1兆円(10^12)を目指して。

①年10%

S&P500程度の成績です。

10^12÷(1.10^70)=1,266,228,367円

原資は12.7億円必要です。
一般人にはかなり難しいレベルと思います。

とはいえ、12.7億を年10%で運用し続ければ90歳には1兆円に届くという考え方もできます。

②年15%

次に年15%

10^12÷(1.15^70)=56,383,388円

原資は5,639万円。
このくらいの原資なら、親族の資産を相続できた人なら達成できるかもしれません。
運用成績を+15%だすのは至難の業ですが・・・。

③年20%

10^12÷(1.20^70)=2,866,241円

20歳で287万円あれば達成可能。

ちなみに、ウォーレン・バフェット氏の運営するバークシャーハサウェイのバフェット氏の手紙にある運用成績(Berkshire’s Performance vs. the S&P 500 P2)を観ると、1965年から2020年の56年間の運用成績の平均が20.0%です。

つまり、世界最高レベルの運用成績でも平均すると年20%であることを留意してください。

③年30%

言わずもがな、この辺りからは継続するには「ありえへん」レベルの運用成績です。

10^12÷(1.30^70)=10,567円

1万円ちょっとで達成可能。

お年玉を運用し続けて90歳には1兆円を超えられるスコアです。
1万円の原資なら、投資家ならほぼ全員持っている金額だと思います。

そう、年30%の運用成績を出し続けられれば。

④年40%

年40%ならどうでしょう。

10^12÷(1.40^70)=59円

60円あれば、90歳には1兆円突破できます。

世界の長者番付の現時点のトップの22.9兆円であっても可能。
お小遣い(2~3,000円程度)でベゾス氏を超えることも可能です。

⑤年50%

10^12÷(1.50^70)=0.47・・・円

なんと、「1円あれば達成可能」な計算になります。
ベゾス氏の22.9兆円を目標だとしても、

22.9×10^12÷(1.50^70)=10.800・・・
11円で達成可能です。

⑥年100%

最後は年100%
桁が大きくなりすぎたので、「兆」では収まりません。
1円を年100%で70年運用し続けたらどうなるかを考えましょう。

1×2.00^70=1,180,591,620,717,411,303,424円

単位がわからなくなりましたが、「 垓 (がい)」です。

11垓8,059京1,620兆7,174億1,130万3,424円

になります。
うん、無理だな。

億万長者ランキングや国家予算どころの騒ぎではありませんね。

フルベットで勝ち続けることは難しい

1年で倍になったらそのお金を全額次の投資へ、そのお金も1年で倍になる・・・。
そんなのは夢物語です。(バックトゥザフューチャーの世界のように、将来のスポーツ新聞をゲットして、ドラフトキングスのスポーツ賭博で賭けをする側に立てば別かもしれませんが・・・)

3カ月で倍にした人も、

 他の銘柄で損してたり、
 勝ってたのは一部の銘柄だったり、
 その期間だけ偶然勝っただけだったり

しているのかもしれません。

今回の検証は、それらのツイートが悪いとか、嘘つきだとか言いたいわけではありません。

つまるところ、「年20%で勝ち続けても将来のバフェットになれるくらいすごい成績」であることを改めて認識してほしい次第です。
当然、年20%を出し続けるはものすごく大変です。

先ほどのバフェット氏の手紙2020を見る限り、バークシャーハサウェイの運用成績の比較対象となるS&P500で年10.2%の成長です。
これでも55年で資産が23,454%(=234.54倍)になります。

短期間で倍になった銘柄を宣伝するインフルエンサーさんを見て、

「短期間で、並外れた成績をあげたい!

と思ってしまうこともあるかと思いますが、

「並外れた成績」というのは意外に刺激的にみえない利回りである一方、それを続けるだけで十分なのです。
あなたの成績は思ったよりも良いものなのかもしれませんよ。

まとめ

と、いうわけで今回は投資の駄話。

大事なのは4点。

 ・投資に勝った時以外報告したくないもの
 ・インフルエンサーさんも負けるときは負ける
 ・年20%で勝ち続ければバフェット級のスコア
 ・瞬時値的にハイスコアは出るが、むしろ勝ち続けることは難しい

ところで、1点目の「勝った時以外報告したくない」には一部例外があります。
負けた時に報告することを好む人もいます。

ただ、言わずもがな趣旨は異なり、基本的には読み物としての価値と捉えるべきといえます。
投資を学ぶ上で、「こういう銘柄はリスク」というのを知るうえでは役立ちますが、銘柄選択としては微妙かもしれません。

投資は「(何回か)勝つことはできても、勝ち続けることはとても大変」です。
ついつい勝っているときに調子に乗りすぎて退場する人がとても多いです。

勝って兜の緒を締めよ。
勝ちつづける投資家になりたいものです。

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