今日は、私が取引しているSacombank証券の話をしつつ、現地証券口座のメリット・デメリットについて書いてみたいと思います。
●もくじ
1 当時日本で手続きできた証券会社
2 Sacombank証券
3 メリット・デメリットから見るベトナム株現地口座
1 当時日本で手続きできた証券会社
2010年頃は、海外の証券口座(銀行もですね)は、現地で開設するのが一般的でした。
今ほどベトナム株について情報がなかったので、とにかく体当たりで情報収集しました。
当時は、ベトコムバンク、ホーチミン市証券、サコムバンク証券は、国内で口座開設できる会社でした。
他にもあったかもしれないのですが、当時見つけられた情報です。あとは、先日記事にしたVNDirect証券が口座開設できたかも。
2008年のリーマンショックで、一気に外貨が自国へ撤収したためか、国内の需要はともかく、海外で口座を開く需要はなかったのだと思います。
検討した結果、私は「Sacombank証券」に口座開設しました。
2 Sacombank証券
(1)Sacombank証券とは
Sacombank証券は、ベトナムの銀行のSacombank系列の会社です。なお、証券口座に入金する際は。サコムバンクの口座に送金します。
(2)手数料
手数料は、他のベトナム国内の証券会社と比べて並程度。
口座を開いてから、そこまで他社と比較はしていませんが、取引価格は片道0.4%程度です。(取引額でもう少し安くなります。)
他社と比較して、片道0.3%くらいの手数料の会社はあるかもしれないのですが、後述サポートが安定しているので、若干の手数料は気にしないこととしています。
0.1%の手続きで100万円の取引で往復2,000円程度(0.4%×2で8000円、0.3%×2で6,000円です)の手数料の差が出ます。
基本は長期保有なので、手数料よりサポート優先といったとこです。
ベトナムでデイトレードをするような方は手数料を気にしてもいいと思います。(相当のこだわりがなければ、デイトレードは国内の銘柄を国内のネット証券会社で行ったほうが安いです)
(3)日本語サポートもある
日本人ユーザも一定数いるからか、何人か担当は変わったものの日本語サポートもしており、回答も早めにしてもらっています。
目安として、質問メールをすると、概ね当日又は翌日までには回答がもらえます。(なお、ベトナムとの時差は2時間。ベトナムUTC+7、日本UTC+9)
例えば、確定申告の資料が必要と伝えると、翌日には集計した資料をPDFで送付してくれます。国税に添付して提出して質問等を受けたことはありません。
(流石にEXCELに落として最低限の和訳と仕訳をして添付する必要があります。)
9年間でサポートで不便を感じたことはありません。
むしろ、日本のネット証券のサポートの方が物足りないくらいです。(日本の証券会社のほうがかえってメール・電話相談の応答が遅く、又はそもそもメールでお問い合わせできない場合すらありますので。)
(4)スマホでも取引可能
日本の証券会社と同様で、スマホアプリで取引も可能です。何気にGoogleアプリで検索できます。
国外のため、銘柄情報が少ない以外は、日本株と取引するのとあまり変わらないです。
3 メリット・デメリットから見るベトナム株現地口座
Sacombank証券に限られませんが、日本の証券会社でベトナム株の取引をするより現地証券口座のほうがメリットが大きいです。
一応、メリット・デメリットを整理してみましょう。
(1)メリット
①手数料が安い
海外現地口座を勧める一番の理由はこれです。日本の証券会社でベトナム株取引をすると、ものすごく手数料を持っていかれます。
私が、日本株で取引をしているSBI証券を例に挙げてみましょう。
・為替レート 10,000ベトナムドン(50円)あたり2円(4%)
参考:SBI証券の規約
・購入手数料 片道2%、往復4%(ベトナム国内の譲渡所得税0.1%は国内外共通)
参考:SBI証券の資料
改めて見ましたが、高いままでした。
手数料比較の記事ではないので詳細は省きますが、他社も似たり寄ったりです。
どれくらい手数料がかかるというと、以下のとおり。
例)SBIで100万円を送金して、売買した場合の手数料。(譲渡所得税は共通なので考慮せず)
①為替手数料:100万円×4%=4万円
②購入手数料(買):(100万円-4万円)×2%=19,200円
③同(売) :(100万円-4万円-②)×2%=18,816円
①+②+③=78,816円
このように、「1売買を終えるまでに8%」くらい手数料を取られてしまうわけです。
現地口座ならば、
送金手数料(為替手数料)が100万円当たり6,000円(0.6%)くらいです。(リフティングチャージが分かりにくいため「くらい」とします。)
取引手数料が0.4%(往復0.8%)なので合計1.4%です。
「100万円あたりせいぜい2万円」で売買まで取引可能なわけです。
取引までに「現地口座なら100万円あたり6万円も節約」になります。
口座開設手数料が10万円もかからないので、取引規模が200万円くらいで元が取れます。
余談。
最近、マネックス証券やSBI証券が米国株取引の「最低」手数料をゼロにしたそうですが、通常取引で最低取引手数料になることはありません。
余談ですが日本の証券会社だけではないのでしょうが、こういう情報弱者を食い物にするのはどうかと思います。
②株主総会の連絡が届く
日本の証券会社で株式を購入すると、株主総会の書面が届きません。
バークシャーハサウェイ株を、ある国内証券会社で購入した時のこと。
いつまで待っても、株主総会の案内が届かないので証券会社に聞いてみたところ、
「(証券会社の特定の名義)で(保管機関に)混蔵寄託(一括で購入して持っている)しているため、お客さま名義の議決権は発行されない」仕組みになっているようです。
(2013年4月に質問。今でも契約書面を見る限り変わってない模様。)
③新株予約権などが行使できない
上記理由により、行使できる権利も制限されています。
SBIの規約だと、新株予約権も「勝手に売られて」しまいます。
純粋な株式分割以外(ライツイシューなどを含め)だと、ものすごく不利です。
(2)デメリット
逆に、ベトナム現地口座を使うデメリットを整理します。
主に送金までが手間なんですよね。
① 送金が手間
送金の話でも書きましたが、初回の送金手続きまでが煩雑です。
特に、FXを併用する場合は口座を2つ余分に開設(FXとプレスティア等)するので面倒。
一旦設定すればどうということはありませんがデメリットでしょう。
② 送金ができているか不安
何回も海外送金するとそうでもないのですが、初回は100万円単位のお金を送金する際に不安を感じるかもしれません。。
慣れるとお金が反映されるまでの数日のディレイを「遅い」と感じる程度です。
③ 確定申告などが分かりづらい
外国の口座なので、源泉税などを外国税額控除で精算する必要があります。
(外国税額控除は、控除というよりは源泉税の取り戻しなので、精算する処理です。)
こちらの記事にも書きましたが、所得税額に「総所得分の外国所得」を乗じて上限を計算し、
支払った分の税額控除できるというだけなので、税理士に相談する必要はないかと思います。
しいて言えば、集計が面倒なところでしょうか。
(私が税理士登録したあとなら、相談を受けますと書きたいのですが、今書くと税理士法違反になるので記事程度にとどめます。)
●まとめ
・ベトナムの証券会社でもサポートは問題ない
・国内だと手数料が高い
・海外送金で不安になりがちだが、心配するほどのことはない
・確定申告も集計が面倒な程度で難しいことはない
当方は、Sacombank証券で口座を開いています。Sacombankに限らないですが、個人的には、ベトナム株は国内の証券会社を頼るより、気楽に現地口座を開設すればいいと思います。
それでも、安心のためのコストを100万円あたり6万円払えるかどうかといったところです。
一つの選択肢として検討してもらえれば幸いです。
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