リュウです。
娘がブロックをつなげて「しゅっぱーつ」と言うようになりました。
親ばかとしては鉄道好きの血を引いていると嬉しいのですが。
さて、本題。
4月6日に「ゆとりある老後生活費に35万円も必要か」という記事を書きました。
隠居した夫婦2人で必要な生活費を、医療費まで含めてかなり余裕を見た金額を282,000円と算定しました。
(結構高めに計算しました。)
ふと読み返したとき「では、老後にいくら準備するか」、というところまで触れてみようと思い、追加で書いてみることにしました。
今日のテーマは、「必要な老後資金」について考察してみましょう。
私も20年くらい先に悩むことになりますし、年金支給が細るなどしそうですが、現状で計算してみました。
※無人駅としての運用の頃の新函館北斗駅(旧:渡島大野駅)(2015.10 北海道北斗市)
新幹線開通前なので人がいません。元々は無人駅で、新しいのに廃墟感のある、不思議な状態の駅です。
貧乏旅行でいいので、こういう旅を老後も続けたいものです。
●もくじ
1 前提条件
2 試算
3 結論
4 計算資料
1 前提条件
共働きが多い現代に若干そぐわないですが、妻は専業主婦(国民年金3号被保険者)と仮定します。
収入は、公的年金と60歳までに貯めた貯蓄の運用、貯蓄の取り崩しで生活すると仮定します。
わかりづらい資料は、4の計算資料に載せました。
(1)生活費の見込み
前にブログで計算したとおり、最低生活で22万2000円、ゆとりある生活で282,000円と見積もりました。
内訳は以下のとおりです。
家賃 70,000円
(個人的に借家を選択。持ち家の場合はその維持費を考慮すること)
光熱水費 14,000円
(電気7,000円に変更。自宅滞在時間増のため)
食費 30,000円(家で作るから安くなる。)
子育て関連 0円
保険料 0円
(老後は貯蓄と公的年金と公的健康保険で対応可能※)
通信費 10,000円(ここはもう少し減らせるかも)
医療費 58,000円(使わない月は、口座を分けて貯蓄。)
その他 40,000円(仕事でかかる費用は減る、趣味費は別建て)
趣味等 60,000円(ゆとりある老後生活費のため。)
合 計 282,000円
最低生活費は、「趣味費」の6万円を削ることです。
医療費は60代から58,000円ずつ積み立てれば余力があるものになると思います。
(2)平均余命
65歳男女の余命を出します。
余命とはその年齢まで生きた人があと何年生きるかの統計です。
なお、0歳の余命は平均寿命と同値になります。
・平成 29 年簡易生命表の概況(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life17/dl/life17-15.pdf P2
65歳 男19.57年 女24.43年 (平成29年)
65歳までに生きた人は、「男85歳、女90歳」くらいまで生きると推測されます。
(3)基礎年金・厚生年金(遺族年金を含む)の平均値
・平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
https://www.mhlw.go.jp/content/000453010.pdf P28
65歳 厚生年金145,508円、国民年金56,731円を根拠。
実際は①この手の統計は平均より中央値のが低い傾向にあるため夫の受給額は若干少なく、
一方で、②専業主婦であっても厚生年金だった時代の加算がないため妻は若干多くもらえる、
そのため、相殺されて程よい世帯収入になってると予想。
夫、145,000円 妻 55,000円 = 200,000円/月
夫死亡後は、遺族年金として妻が132,500円/月受給すると試算(※1)
(4)資産運用:年2%
年2.5%の配当が出るとして、源泉税20%(復興税は考慮せず。)2.5%×(1-20%)=2%
(若干低めの利回り計算。租税公課(特に健康保険と介護保険)の計算を楽にするため若干不利に20%源泉徴収で処理)
配当の多くは、半期に一回なので再投資で若干運用成績が上がりますが、モデルを簡単にするために各年の末に配当を全額もらえると仮定します。
(5)租税公課:国保(後期)料、介護、所得・住民税
自治体による差があるため、サンプル自治体として、神奈川県横浜市に居住していた場合で計算。かかる費用は以下のとおり。
必要な方は、計算根拠を4で確認ください。
① 所得税
② 住民税
③ 国保、後期高齢(神奈川県)
④ 介護保険料
※固定資産税は、個人的に好みの借家で見込むので計上せず。
0 + 0 + 65,000円 + 60,000円 = 125,000円/年
(6)夫死亡後の生活費
2人時代の2/3で計算。(半額で済むことはまずないと思います。)
(7)夫の死亡保険
考慮せず(0で計算。その代わり生命保険料も0。)
(8)その他
老後の定義は65歳からとします。年金支給を根拠とします。
なお、考察結果を見て思うのは、60歳から老後とするのはかなり大変そうに感じました。
2 試算
試算の方法は単純です。
①年金収入額から月額の生活費と租税公課を引き、不足分があれば資金から取り崩す。
②取り崩し後の資金の残高の利回り(2%)を加算
③以下、翌年で繰り返し。
(1)ゆとりがない老後生活として月23万円で算定
病院にかからない間は月6万近くを貯蓄に回せますが、敢えてそれを運用しない不利な計算方法なので、かなり堅い数値となっています。
夫と妻が同年齢、互いに65歳から年金を取得し、生活費と租税公課は2人、1人のときでそれぞれ固定した場合のシミュレーションです。
計算式を単純化したものの条件が細かすぎるので、計算した結論のみ。
85歳で夫が死亡、90歳で妻が死亡し、貯蓄をほぼ使い切る見込みで必要な貯蓄額は「920万円程度」です。
思ったより少ないですね。良いところで働いていれば、退職金でまかなえるかもしれません。
参考として、60歳から64歳まで収入なし、貯蓄を取り崩す計算の場合は「2,300万円程度」必要です。
(2)ゆとりある老後生活として月29万円(28.2万円)で算定
(1)の設定に月6万円の趣味費を見込んで計算。
病院にかからず、趣味費を使わなければ毎月12万近くの貯蓄も可能な生活レベルです。
85歳で夫が死亡、90歳で妻が死亡し、貯蓄をほぼ使い切る見込みで必要な貯蓄額は「2,200万円程度」です。
参考として、60歳から64歳まで収入なし、貯蓄を取り崩す計算の場合は「3,800万円程度」必要です。
3 結論
最低限の生活のために必要な貯蓄は920万円程度、
ゆとりある老後生活のために必要な貯蓄は2,200万円程度必要です。
5,000万円必要だとか、1億必要だ、という法外な貯蓄をせずとも生きてはいけそうです。
一方で、60歳時点に必要な貯蓄で計算すると、
最低限の生活のために必要な貯蓄は2,300万円程度(+1,400万円)、
ゆとりある老後生活のために必要な貯蓄は3,800万円程度(+1,600万円)と急激に必要額が増えます。
したがって、我々が与えられた老後の課題は、「65歳以上の資金より、退職から64歳までのお金をどうするか」のようです。
現代では、「普通に暮らしたら60歳で引退はかなり難しい」ように思います。
「サラリーマンで、妻が専業主婦、引退は60歳」は、もはや過去のものですね。
64歳までは働く必要性が高いといえるでしょう。
最近では、政府は、年金支給を70歳にしようとする意見もあり、さらにシビアになりつつあります。
最低生活を23万として、単純計算として23万×12月×5年=1,380万円の資金(運用考慮せず)をさらに必要とされます。
また、サラリーマンのメリットは大きいですが、退職年齢と年金支給年齢の期間ギャップを考えると、退職までに手に職がある状態のほうが良いかもしれません。
私の現状からは、早い年齢からリスク管理をすることとなる自営業で税理士として活動したほうが、退職後のつぶしの利きにくいサラリーマンより資産状況をコントロールしやすいようにすら思えてきます。
結論として、「老後生活は思ったほど大変ではないが、退職から老後までの期間が大変」といえます。
4 計算資料
1~3の根拠付けのために揃えた資料(冗長になったので最後に添付)です。
概ね公的機関の資料で、全てネットで確認可能です。
(1)年金関連
・遺族年金
概算として厚生年金部分の4分の3になる。
① 780,100円(65,000円)遺族年金(国民)、定額です。
② (145,000厚年平均-55,000国民年金平均)×3/4=67,500円/月 遺族年金(厚生)(遺族年金の概算、厚生年金部分の3/4)
①+② = 65,000+67,500円=132,500円/月(なお、遺族年金関連は所得税は全て非課税所得となる。)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/index.html より丁寧に計算したい方はこちら。
おそらく、年金は細かく計算すると日が暮れるので概算でやめるほうがいいです。
(2)租税公課関連
参考として、神奈川県横浜市に住んだ場合の料率で計算。
夫 145,000円×12月 = 1,740,000円 → 所得540,000円
妻 55,000円×12月 = 660,000円 → 所得0円
① 所得税:妻を扶養に取るため非課税(基礎控除+配偶者控除=38万+38万=76万>540,000円)
② 住民税:妻を扶養に取るため非課税(所得35万+21万×2=77万>540,000)
なお、遺族年金は非課税所得のため課税所得なし。
③-1 国保
所得割(※2) 19,341円+均等割(※3) 43,950円 = 63,291円 ≒ 65,000円
※2(540,000円-330,000円)×9.21%医療・支援分)
※3(43,950円×2名×50% 5割軽減)
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/kokuho/hokenryo/h31shisanpage.html
③-2 後期高齢者医療保険(神奈川県)
所得割17,325円(※4)+ 均等割(※5) 41,600円 =58,925円 ≒60,000円
※4(540,000円-330,000円)×8.25%)
※5(41,600円×2名×50% 5割軽減)
(※あまり国保と後期高齢の保険料の差異がなかったため、若干不利に年間65,000円で計算。)
④ 介護保険料
第2段階 × 2名 = 29,760円 × 2 = 59,520円 ≒ 60,000円
(H30年度 P2)
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/fukushi-kaigo/koreisha-kaigo/kaigo-hoken/kaigo-hoken-hiyo/kaigohokenryo.files/h30-gakutu-chi.pdf
夫死亡後は、後期高齢分8割軽減(8.5割かも?)8,320円/年、介護分29,760円/年 で年4万で計算
(3)持ち家の場合の負担減
結局、築年数の多さから現役時代はともかく、老後は「修繕費」が多くかかる時期にあたると思います。
持ち家の場合、新築に近い時期で、「修繕がなければ」固定資産税くらいで済むのですが、30歳で家を建てた場合、80歳のときは築50年、90歳のときは築60年です。修繕料がゼロとはとても言いがたく、持ち家の優位も圧縮されてしまいます。修繕費として数百万円を見込んでおく必要があります。
また、「退職金と貯蓄でローンを組まず持ち家を購入し30年くらい住む」という手段も、修繕費の面でよいかもしれません。
持ち家か賃貸か、及びリバースモーゲージの有効性については、いずれ検討したいテーマです。
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コメント
[…] 過去に、どれくらい老後生活に必要なのかを検討した記事があるので、詳細はそこを見てもらうとして、今回は、年金以外に必要な貯蓄、「2000万円の資産形成がどの程度必要になるか」 […]