宝くじ考(どちらの側に立つべきか)

リュウです。

 

明日はクリスマスイブですが、結局、娘と妻の3人で胃腸炎になり、のんびり過ごしています。

 

だいぶ体調は良くなったので、明日はスポンジケーキを買って自作のクリスマスケーキでも作ろうかと思っています。

 

※帽子を被ってハイテンションの娘(2018.12)

 

さて、本題。

最近年末ジャンボ宝くじの販売が終わりました。

 

宝くじを「夢を買うもの」と表現する人がいます。

個人的には、夢というよりは、非常に現実的なもので、宝くじ協会への「寄付」としか思えないんですよね。

 

自分は宝くじを買ったことはほとんどありません。

 

「宝くじの購入により当たった時に仕事を辞める」などという話で盛り上がりますが、
理解してくれそうな友人には、「宝くじは胴元をやりたい」と伝えています。

 

今日は、年末ジャンボ宝くじの発売が終了して発表も前なので、

「事業としての宝くじ」少し検討してみたいと思います。

 

宝くじを一つの事業としてとらえると、宝くじに対する見方が変わるかもしれません。

 

 

 

●目次

1.売り上げについて

2.経費について

3.利益率は?

4.どちらの側に立つか

5.法令による制限

 

 

1.売り上げについて

 

まずは、収入側を計算してみましょう。

宝くじの裏にもかかれていた覚えがありますが、順位、当選金、本数、(確率)の一覧です。

 

 1等 7億円 24本 1/20,000,000
1等 前後賞 1億5千万円 48本 1/10,000,000

 1等 組違い 10万円 4,776本 199/20,000,000 (約1/100,000)
2等 1千万円 72本 3/20,000,000(約1/6,666,667)
3等 100万円 2400本 1/200,000
4等 10万円 96,000本 1/5,000
5等 1万円 48万本 1/1,000
6等 3000円 480万本 1/100
7等 300円 4800万本 1/10

 

7等賞の本数から発売されている枚数を考えてみましょう。

4800万枚×10(又は÷1/10)=4億8千万枚
480,000,000枚×300円=144,000,000,000円(1440億円)

最大で1440億円の売り上げが出る計算です。

 

実際には、売り上げに関する資料を掲載したホームページがあったのでこちらを参考にしてください。

過去の実績から70%の1000億円(1440億×70%=1008億円)と捉えるのが適正といったところでしょうか。

 

 

2.経費について

経費として以下のようなものがあります。

 ・当選金(50%)
・売り場へのマージン(8%)
・売り場への送料(1%)
・販売促進費(3%)
・CM費用等広告費(1%)
・その他(2%)

 

役立つ資料があったので、これを参考に作ってみました。(資料
(当選金だけ直接計算可能なのでこちらで計算)

個別に分析していきましょう。

 

・当選金(50%)

実質、期待値計算をすることになります。

昔は当選金が4割位だと聞いていたのですが実際は49%強でした。

         金額      当選本数    コスト
1等    700,000,000 円     24 本   16,800,000,000 円
前後賞  150,000,000 円      48 本       7,200,000,000 円
1等組違      100,000 円  4,776 本         477,600,000 円
2等         10,000,000 円      72 本         720,000,000 円
3等           1,000,000 円 2,400 本      2,400,000,000 円
4等             100,000 円 96,000 本      9,600,000,000 円
5等              10,000 円 480,000 本    4,800,000,000 円
6等                3,000 円 4,800,000 本 14,400,000,000 円
7等                  300 円 48,000,000 本 14,400,000,000 円
                                              合計 70,797,600,000 円 ①
購入                300 円 480,000,000 本 144,000,000,000 円 ②

   
 割合(期待値)  ①÷② 49.165%

・売り場へのマージン(8%)

宝くじ売り場にはいくらのお金を支払っているか、このような資料がありました。

 

最新資料ではありませんが、300円だと18円の謝礼がもらえるようです。
1万枚で18万、10万枚で180万円もらえるようですが、10万枚が売りやすい枚数かは不明。

他の宝くじとの平均をとって8%くらいがマージンのようです。

・売り場への送料(1%)
全国に多数のくじを送付するので相応の費用が掛かっているようです。

 

・販売促進費(3%)
宝くじの事業を啓発するために、自治体等にお金が行っているようなのですが、
収益から出ているものだと思っていました。

わかりづらいからか上述資料によると、数年前から割合が減っている模様。

・CM費用等広告費(1%)
このような資料がありました。

 

テレビ以外にも各メディアで展開しているようですね。

ジャンボ宝くじ系は年5回(バレンタイン、ドリーム、サマー、ハロウィン、年末)あるので、
1回15億くらいかかっているといえるでしょう。

 

広告業界にはお客様のようです。

宝くじ業界がギャンブル性が高いのに批判を浴びない要因かもしれませんね。

・その他(2%)
ここに印刷費やその他経費が掛かっている模様です。

 

 

3.利益率は?

以上により、

 

100% – ( 50% + 8% + 1% + 3% + 1% + 2% ) = 35%

 

売上の35%が手残りになっているわけです。

 

1000億の35%ということは、350億円が一般財団法人宝くじ協会に手残りとなるわけですね。

これは公共的な事業の補助としての資金に使われているようです。

 

今回は、ここに法人税を仮に課して、出資者(株主)が配当を受けた場合を考察してみましょう。

実効税率を31%と考えましょう。

 

 350億 × 31% =108.5億

 

税引き後利益は

 

 350億 - 108.5億 = 241.5億

 

ざっと24%の利益が残るわけです。

 

・・・・今日初めて自力で計算してみましたが、ものすごい利益率と実感。

 

 

4.どちらの側に立つか

ここまで来て、何となくオチが読めたと思いますが、

 

 ・宝くじを買う
・宝くじを売る(販売業者じゃなく、宝くじ事業を運営する)

 

の、どちらがうまいかわかるかと思います。

 

(1)宝くじを買う

 

宝くじの期待値は上述の通り、49.165%です。

3,000円出資すると、1,525円残ります。

 

連番で10枚買うとして、3,300円以上残る確率は10%です。
連番で10枚買うとして、10,300円以上残る確率は1.1%です。(10,300円、13,300円の確率の和、4等以上を足すともう少し上がります)

 

(2)宝くじを売る

例えば、1000億円の出資金で年末ジャンボ宝くじ販売事業を興し、
事業終了後に全額分配すると、約240億円の配当をもらえます。

 

もう少し規模を下げて100万円出資すると、元本と合わせて24万円の配当がもらえます。

さらに規模を下げて、3,000円出資すると、元本と合わせて720円(3,000円×0.24=720円)の配当がもらえます。

 

720円に20%の所得税が差し引かれるとして、576円手元に残ります。(配当控除とか細かいものは無視します。)

手残りは、3,576円です。

 

(3)結論
整理していくと、宝くじを買うと1回あたり10枚(3,000円)で▲1,475円の損失が出ます。

およそ10%の確率で売った時と同額程度、2%弱の確率で宝くじを売って配当をもらった時より利益が出ます。

 

宝くじを売った場合(出資総額を売り上げと同額の1,000億円として)、
100%の確率で、配当の手残りとして576円の利益が出ます。

 

正直、当選金は売り上げから出るので、

出資は、経費の当選金以外の15%部分+αの20%(200億)もあれば十分に事業が回ります。

そうすると、もっと巨額の配当が得られると思われます。

 

以上により結論、

だから、「胴元に出資したい」んですよね。

 

 

5.法令による制限

 

ここまでで、ギャンブルは客がいればいるほど胴元側が儲かることを説明してきました。

とはいえ、日本の現行法では、胴元をすることは基本的にはできません。

 

宝くじ(富くじ)を売ると、刑法187条(賭博罪等として刑法185~187条)で罰せられます。

 

また、賭博罪等につき参考になる判決があります。
(最大判昭和25年11月22日刑集4巻11号2380頁)という判決があります。

 

判決文(抄)によると

「単なる偶然の事情に因り財物の獲得を僥倖せんと相争うがごときは、国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の
基礎を成す勤労の美風(憲法二七条一項参照)を害するばかりでなく、甚だしきは暴行、脅迫、殺傷、強窃盗その他の副次的犯罪を誘発し又は国民経済の機能に重大な障害を与える恐れすらある」としています。

 

要約すると、

・運で金持ちになることができると、国民は怠惰になり、勤労の美風が害される

・ひいては犯罪の温床になりうる可能性すらある

 

としています。

 

当時の裁判官は、ギャンブルをするプレイヤー側ヘの悪影響を問題視していますが、

個人的には、こんな楽に稼ぐ胴元がいると、勤労の美風を害し、犯罪等の原因となりうることになるようにも思えます。

 

とはいえ、時流は逆に進みつつあります。

グレーに認められていますが、同様のギミックのスマホのゲームのガチャが合法の時代ですしね。

 

ギャンブル業は中々デリケートなテーマなので深入りはしませんが、

この手の業種はビジネスチャンスを感じます。

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