消費者としての軽減税率

リュウです。
 

今日は、娘の保育園の「食育フェスタ(文化祭みたいなもの?)」の準備で保育園へ。
その後、友人らと飲み会です。

先週、娘が大好きな牛乳がなくなったので、家の近くのフードコートのあるコンビニで買い物をしました。
飲みたそうにしていたので、買ったミニサイズの牛乳フードコートで飲んでいたら次の張り紙を発見。


※近くのコンビニのフードコートの張り紙(2019.10)

 要約:買って帰るなら8%、フードコートを使う場合は消費税10%。

 会計分野の方なら、きっと面倒と感じている軽減税率。

 恐らくクライアントも、消費者も、あることは知っててもわかっていないと思います。

娘にあげようと思って買ったのでフードコートで飲んでたのですが、ふと画像のとおり、フードコートだと10%になることを思い出した次第。軽減税率の制度の分かりづらさを感じたのでちょっと整理してみました。

※最後にも書きますが、脱法行為を勧めているものではありません。

●まとめ
1 消費税がどのように納付されるか
2 軽減税率
3 消費者と事業者の立場から見ると
4 制度は分かりやすいものであるべき

1 消費税がどのように納付されるか
基本的なことから整理。

消費税にはと国税の消費税と地方税の地方消費税があります。
基本的には一体で消費税(等)と呼ばれ、国が徴収して後で地方に分けられます。

消費税は間接税の一つです。
間接税とは、支払う人(消費者)と納付する人(例えばお店)が異なります。
(コンビニで買い物すれば消費税を払うけど、納付はコンビニがするわけですね。)

つまりは、消費税は預かり金のような性質をもちます。

消費税の納付を簡単にすると、
110円の菓子パンを買った(フードコートで食べます)として、本人が払った110円は、
①100円が店主さんに、
②10円を預かって、後日集計して納付することになります。
 (仕入れなどで「既に支払った消費税を相殺」等して、厳密には申告時に10円全額納付することにはなりませんが、
最終的消費者の我々から預かった10円を納付するという点では同じです。)

2 軽減税率
次に軽減税率について。

軽減税率とは、原則10%の消費税につき、特定の商品だけ例外的に8%にする制度です。

飲食良品の譲渡(酒類を除く)と新聞が対象です。
「飲食良品の譲渡」に該当するものは、ざっくり言うと「食べ物を買って持ち帰る」こと。
ケータリングや外食などはNGです。

財務省の資料でわかりやすいものがあるので、転載。
dsri.jp/ryutsu-bms/event/pdf/report/GS1JapanTaxMeeting_mof_201901.pdf(P3)

図はわかりやすい・・・・んだけど、線引きがすごく分かりづらいんですよね。

 

参考に、8%と10%が混在したレシートを見てみましょう。

①コメダ珈琲に最近行って昼食(結構高かった)(10%)

②おつまみの豆をお土産で買った(飲食良品の譲渡として軽減税率8%)

 

という内訳になっています。

このように、食べ物であっても取り扱いが異なります。

余談ですが、コメダの豆菓子が好きで、時々買います(笑)

 

※コメダ珈琲のレシート(2019.10)

 このような明らかな持ち帰りと食事ならば誰でも分かりますが・・・。

 

では、次のようなケース。

 

例えば、コンビニで税抜き100円の牛乳を買うとします。

 フードコートで娘に飲ませる・・・10% 10円
帰ったら飲ませる又は娘に飲ませながら帰る・・・8% 8円

と、理屈上となるわけですが、

今のところ店員が「持ち帰りますか?」と聞かれたことは一回もありません。

ましてや、スーパーなので数十品目購入するような場合、そんなことしてたらきりがないわけですね。
聞くように税務署が指導をしたとして、都度チェックするわけにもいきません。

3 消費者と事業者の立場から見ると

と、いうわけで消費税の納付の現場の視点から考えてみる。

 

結論からいうと、お店は8%で取ったら8%払えばよい、10%取れば10%払えばいい。

あとは、消費者がいうことを信じればよい。

となってしまうわけです。
 

 

(1)確認する義務を順守してくれるのか
上述の財務省の資料で分かるとおり、「レジの店員さんが確認する義務を負う」わけです。

ただ、2.で説明したとおり、消費税は性質上「預り金」のようなものです。
したがって、8%であずかっても、10%であずかっても、経理上問題なければ税務署はどうするのでしょう。
フードコートで食べた証拠を一々立証することも、そんなのを一々推計して課税することも困難でしょう。

さらに、8%でも10%でも「預かったお金を左から右に送金するだけなので、そのお店は痛くもかゆくも無い」わけです。
むしろ、お客さんが一々聞かれるわずらわしさと、答えることで2%加算して消費税を取ることの負担から、客離れを起こされることのほうがデメリットになるわけです。(敢えて聞きたくないと思うんですよね)
 

上述の通り、いくつかのお店(フードコートのような設備がある)で買い物をしてフードコートの利用をするかどうかを聞かれたことはありません。

(2)10%で取って8%で申告されることは無いのだろうか
(1)から転じて思ったこと。
概ねレジ(を買わされて)集計するようになるので問題ないと思うのですが、持ち帰りも座席もあるようなお店で、座席で食べたお客さんの売上を持ち帰りとして8%で申告されることも危惧されます。


100円の牛乳を買い、10円の消費税を取ったのに8円で消費税を申告した場合、店舗は2円分手元にお金が残ります。
なんか、この税率差を使って、逋脱行為をする人が出てくる気がして心配でなりません。

※修正しました。

反面調査があるので実質無理ですよね。

抜け穴があるような気がしてならないのですが、基本的には出来ないようです。

4 制度は分かりやすいものであるべき

これらの問題点は、単一税率を複数税率にしてしまったところにあると思います。
きめ細かい制度を作るのはいいですが、利用者がどちらか分かりづらい現行制度は宜しくないところではあります。

10%なら10%、8%なら8%の単一税率が理想。

軽減税率を入れるなら、食べ物(酒類も)は全部8%、くらいの切り分けがあったほうが消費者も事業主もわかりやすい、不正も生じにくくなると思います。(新聞だけ優遇するのもダメ。)
軽減税率を適用している国はあるのですが、無理に諸外国にあわせる必要は無いのです。

●まとめ
もはや実務で確定申告する前から感じました。

「すっごく分かりづらい制度」です。

客観的に見て、フードコートで食べるのと、家に持ち帰って食べるのと何が違うんだろう。
消費者(家計)が8%で買ったものをフードコートで食べることは想定されます。
脱税の意思すらないかもしれません。

立法府も軽減税率を考える前から分かっていたのではないでしょうか。

(オリンピックを夏に東京でやったら危ないのと同じようなもの。)

併せて現場も煩雑に・・・。
「これと、これと、これはフードコートで食べます。」とか言ったら、レジの店員さんも管理が大変でしょう。

加えて、上述の通り消費税は「預り金」なので、「持って帰ったことにして8%で課税しても店舗は痛くもかゆくもない」わけです。
さらに、レシートの交付方法次第で、10%支払ったのに8%で申告するギミックも想定されるリスクがあります。

やっぱり、10%ヘの増税はやむをえないとしても軽減税率はやめた方が良いと思うんだよなぁ。(新聞だけ贔屓する政策もね。)
この一語に尽きる。

ただ、書こうか迷いましたが、一応。
実は、ドイツのように今の日本と同じようなイートインか持ち帰りかで軽減税率適用される制度があり、根付いている国もあります。(持ち帰りは7% イートインは標準税率19%・・・・高い!)

このくらい税率差をつけると、本人たちが自己申告をしっかりする又は店員がしっかり確認するようになるのかもしれません。
でも、わざわざ真似るような制度ではないかと。(3(2)のような不正が無いとは言い切れませんですし)

所得税の配偶者控除などもそうですが、税金、社会保障の分野での判定がやたら複雑化してきています。
ほとんどのものは機械で自動計算可能なものの、不必要に複雑化をすべきではないと個人的には思うところです。

※最後に、あくまで脱法行為を勧めているものではありませんのであしからず

 へんな制度にしてしまったもんだなぁ・・・とついつい思ってしまいました。

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