インフルエンサー投資とイナゴ投資家について考える

投資関連(外国株以外)

ここ1年、SNS等で株式投資の解説する方が増えたと思います。

時に、プロの意見を閲覧できるSNSで株式投資の銘柄情報などが発せられると、その銘柄にあと追いで投資する方が増えて相場が荒れるからか、それに対する批判として「イナゴ投資家」という言葉が多数飛び交うようになりました。

このようなインフルエンサーの投資を利用した投資法(ここでは「インフルエンサー投資法」と書いています)について、今日は考えてみることにしました。

結論から書くと、「イナゴ投資」も「インフルエンサー投資」も投資法の一つと捉えています。

この方法で成功できるかどうかは別ですが。

また、インフルエンサー投資法を長期的成功させるために、

 ①「自分のお金として責任を持つ」
 ②「自分なりの根拠を持って投資すること」
 ③「学んだ技術を磨くこと」

が大切だと思います。

インフルエンサー投資法は批判されるべき投資法か

前文で書いたとおり、インフルエンサー投資法は、たびたび「イナゴ投資家」と批判され、評判はあまり良くないように思います。

「イナゴ投資家」とは、

株価に影響がありそうな情報が出た株(材料株)を対象に、短期間に何度も売買を繰り返す個人投資家集団のこと。大群で稲に群がり、食べつくすと次の場所に飛び去るイナゴとイメージが重なることから名付けられました。対象になった銘柄のチャートは、短期間で急上昇したあと急落し塔のような形になることから「イナゴタワー」と呼ばれます。

大和証券(「イナゴ投資家」より)

個人的には「イナゴ」の意義が、「インフルエンサーの意見に左右される投資家」だと思っていましたが、それは広義的な捉え方で「(インフルエンサー等の発する情報を)材料に、特定の銘柄に群がる集団」を意味するようです。

どうするとイナゴ投資家と呼ばれるか

「誰かの情報を材料に投資をする」というスタイル自体は昔からあります。

当たり前の話だと思いますが、「投資顧問(プロ)の情報を材料に売り買いする人」をイナゴ投資家というイメージはありません。

では、どういうときに「イナゴ投資家」扱いされてしまうのか。

①「日本の」インフルエンサー投資を真似る人

私見として、日本人のインフルエンサーの真似をして群がる人達を「イナゴ投資家」と批判する人が多いように思います。

上記をイナゴ投資とするとして、

 ・海外のインフルエンサーの真似をするのはイナゴ投資か?
 ・上場ETFのARKインベストメントの投資銘柄の売買状況で投資判断をする人

これらで投資する人は「イナゴ投資家」にはならないのか。

という違和感があります。

②「インフルエンサー」を真似る人

有名インフルエンサーさんの影響力に個人投資家が群がるから「イナゴ扱い」になるのでしょうか。

群がる人が少ないと見込まれるフォロワーが少ない人の情報を真似するのは「イナゴ投資」にではないのか。

フォロワー5万人いる人の意見を(みんなで)採用すると「イナゴタワー」ができてイナゴ投資になるとします。一方で、フォロワー1000人程度で影響力もない人の推奨銘柄を真似てもイナゴ投資ではない、と考えるべきかという疑問があります。

これらの点から、仮説を立てます。
「イナゴ投資」と呼ばれるケースは、

 ・他者の主観的な要素が強く
 ・「多数が真似したとき」に「後づけして」、真似した投資家を批判する

ように思います。

言い換えると、個々の投資家が著名な投資家を真似して投資しただけでは「イナゴ」ではなく、「みんなが真似」しだしたら、批判される仕組みのようです。

学びの観点から

賛否ある(批判のほうが多いかも?)のは承知で、個人的な意見としては「インフルエンサー投資」は学びの観点で役立つ投資法であると思っています。

インフルエンサーの開設する「材料」に基づいて投資するわけですが、それは役立つ「教材」でもあります。

最初はみんな素人(私自身も素人だと思っています)です。
武道などでは、自分よりできる人の方法を師として真似る(真似ぶ=学ぶ)ことが教育手段として用いられています。

技術を全て自分で編み出すことは合理的ではありません。

(1)イナゴでも「自己判断」すること

とはいえ、「イナゴ投資家」が嫌われる理由もなんとなくわかります。

嫌われる理由の一つは恐らく、「○○さんが投資すべきと書いたから」というような「自分で判断していない状態」に対するものではないかと考えます。

これが、自己判断で投資している人に不快感を与えるのかもしれません。

もっとも、アイデアこそ他者ですが投資家が「自分のお金をかけて」いるため、インフルエンサーさんが間違えたとしても自分の懐が痛むため「自己責任」である点に変わりはありません。

つまるところ、自己判断で自分のお金を運用する範囲でインフルエンサー投資も投資法の一つだと思います。

(2)もう一歩先に進むために

ここまでで書いたといたとおり、個人的にはインフルエンサー投資法を好意的に捉えています。

ただ、インフルエンサー投資法にはいくつかの懸念点があります。

例えばインフルエンサーさんが、

 ・情報提供そのものをやめたら(本業が忙しい、引退など)
 ・情報の質が落ちたら
 ・いつまでも無料とは限らない

など、短期的に勝てたとしても、他者に頼る故の弱点もあります。

そこで、「インフルエンサー投資」から一歩先に行けるよう考えてみましょう。
大切なのは「考え方も学ぶ」こと。

「なぜその判断に至ったか」

を残し、同じ過ちをしないようにすること。
以下のようなことを「学ぶ」のが大切であると考えます。

①トレードノートをつける

いつ、どの銘柄を、どれくらい、どういう根拠で買った(売ったか)か。テキストやノートに残すこと。
自分が判断した考え方を管理することが大切です。積みあがってくるとどういうときに勝ち負けが生じたかがわかるはずです。

②原文を読む

学術論文にも当てはまるはないですが「孫引き」は禁じ手です。

できる限り原文に頼ること。(英文なのである程度限界がありますが。)

インフルエンサーのツイートやブログを見て良い情報があったら、自分でHPや財務諸表などの原文を(翻訳機能を使っても構わないので)見ること。

こうすることでインフルエンサーさんがツイート、ブログなどで個人的な意見などを上乗せしたバイアスを無くし(減らし)判断基準を養うことができます。

③自分でも発信する

更に良いのが、自己判断の基準となった根拠を自分も発信すること。

最初は拙くて良いです。(自分もまだまだ拙いと思います。)

自分でなぜそうしたかをアウトプットすることは自分のスキル向上対しても、読者に対しても意味があるものだと思います。

最初は「真似ばかりして」と最初は言う方もいると思いますが、誰もが最初は初心者。やがて自分なりの意見を出せるようになればよいのです。

まとめ

インフルエンサー投資法を批判する人が多いのもわかります。前述のとおり、恐らく「自分の考えがないから」なのではないかと思います。

個人的には、今日の記事を書いていて10年ほど前からやっている「ベトナム株投資を始めた頃」を思い出しました。当時ベトナム株はマイナーであり、日本語の情報がほぼ皆無の中、自力で情報を拾い集めていた頃です。

これに対し、2020年に始めた米国株投資は、無料かそれに近い報酬で情報が提供され、その質も高く、様々なチャンスを見つけやすく、良い環境だ思っています。

個人的にはインフルエンサーが発する情報も大切な情報源、投資の判断基準にすべきである(もっと言うと、真似したって良い)と個人的には思うのです。

ただ、様々な理由で他者に頼り続ける投資は限界があることから、彼らの情報から「学び」、判断力を養っていくべきといえます。

インフルエンサー投資法は、相場の基礎を学び、判断基準を養うのにとても役立つ投資法なのです。

最後に、バフェット氏の自伝、「スノー・ボール」より。
ハードカバー版P219

グリーンが急に話題を変えて、ずばりと本質を突いた。
「私に聞いたんだ。”どうしてマーシャル・ウェルズを買った?”と。 そこで私は答えた。”ベン・グレアムが買ったから”」
(略)
「グリーンは私の顔を見て、”ワン・ストライク!”といった。 その目つきと言葉は一生忘れられない。」
そこではっと気づいた。”ウォーレン・自分の頭で考えろよ”という意味だったのだ。面目なかった。

考えられるインフルエンサー投資家になっていきましょう。

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