iDeCo(確定拠出年金)の銘柄検討

ファイナンシャル・プランニング

先に、
「アフィリエイトリンクはありません。」
とだけ。

この手の記事は口座開設、iDeCo口座設定などのアフィリエイトが多いので、偏った情報になる傾向があるためです。

先週、インデックスファンドについての記事を書きました。

今、米国はバブルで運用成績は高めという有利性はあるものの、10年平均7%くらいかと思っていたところ、14%超のスコアを挙げていました。

「ここまでスコアがいいなら、(全て自己運用から)老後資金部分だけはインデックスで。」

と、個人的な意見を代えたいと思い、「具体的にどの商品なら良いか」を検討してみました。

今日は、iDeCo向きの商品を検討してみたいと思います。

最初にも「アフィリエイトがない」と明示したのは、アフィリエイト報酬があると、良くない商品でも報酬が高い商品を持ちあげる記事になるからです。

「自分がiDeCoに投資するならどれにするか」

の視点に特化した記事にしています。
シンプルに自分が検討した銘柄を挙げましょう。

結論も先に書きます。「全世界か米国インデックスのうち手数料が安いもの」を選ぶと良いと思います。

積み立てで一番大切なのは「安全」

iDeCo概論

iDeCo、すなわち個人型の確定拠出年金で大事なことをまず整理。
読むと当たり前なのにいざ選定の時に忘れていることもあるのでリマインドのつもりで。

 ・所得税上の税制の優遇あり(所得控除ー小規模企業共済等掛金控除)
 ・配当等非課税再投資
 ・原則60歳まで出金不可


iDeCoは年金形成のためのもので、税制の優遇も受けられます。年金の積み立てなので最低60歳までは貰えません。したがって、「30年物の投資」と思ってください。

そのため、「短期的に儲かる戦略を取りにくい」わけです。

「長期決戦で有利な銘柄」を探す必要があり、「大勝ちできなくても、負けにくい銘柄」であることを優先すべきといえます。

iDeCoがつみたてNISA以上に銘柄が少ないのは(国策で)超長期投資向きの銘柄を選定しているのだと思われます。(一方ETFなどが選べない等の疑問もありますが・・・。)

国選び

では、具体的な銘柄の選定方向。
どの国を選ぶか。

日本は長期的に期待できない

正直なところ、国内株を対象としたiDeCo商品は多いのですが、日本株と日本経済は長期的には厳しいと思われます。

就職氷河期・失われたXX年(今は30年とか言われているのかな?)と呼ばれた日本。
1989年のバブル景気以後、技術面、給与面でどんどん諸外国に遅れていっている状況です。

他にもいろいろな根拠は出てきそうですが、まずは給与。

以下のグラフを見てみましょう。
●給与の推移(全労連の資料)

https://www.zenroren.gr.jp/jp/housei/data/2018/180221_02.pdf

このグラフも完全なものとは言えませんが(英国は製造業のみ、なぜかドル換算(アジア通貨ショックの円安の頃などを統計に利用))、世界と比較しても我が国の給与が伸びていないことは間違いありません。

日本の労働分配率の低さも原因にあるかもしれないので一概に言えませんが、

 ・給与が伸びない≒生産性が低い
 ・給与が伸びない≒内需が弱っている

という傾向は読み取れると思います。

実際に、大きく利益を上げる最先端分野(IT・バイオ・クリーンエネルギーなど)において、外国との競争にも技術面・価格面ですでにかなり遅れています。

また、一部の大企業やひいきされた組織にお金が集まる仕組みを作っているため成長は困難と見ます。
成長できない仕組みを作ってしまっているので、当面日本経済に投資すべきではないと言えます。

そこで日本人投資家でも世界に目を向けることにすべきと言えるでしょう。

そこで全世界か米国に

国に対して憂いる記事を書いても仕方ないので、銘柄選定の続き。

(1)のとおり、日本株に将来資金を預けるのはあまり期待できません。

中国は・・・、迷いますが「30年先」を見据えた投資先としてはリスクが高いように思います。

個別銘柄では何度か投資したことはありますが、実は中国は2030年くらいになると一人っ子政策時代のツケで超少子高齢化が迫ってきます。

個人的な予想レベルですが、2030年に米国を抜けていなければ、日本と同様に急激に衰退する可能性があるとみています。

iDeCoは、上述の通り「30年間は逃げられない投資」なので、長期的に没落すると年金支給額に大きく響きます。

そこで、割り切って全世界の成長に投資するか、少子高齢化が(比較的)遅めで経済成長が並行して行われる見込みがある米国にしました。

インデックスに投資

銘柄選びのポイント。

iDeCoで米国・全世界となると概ね商品は決まってしまいますが、重要なのは2点。

 ①アクティブ運用は避ける(パッシブ運用に投資すべき)
 ②リスクが分散されている
 ③手数料が安い

このあたりが重要かと思います。

①アクティブ運用は避ける

アクティブ運用は長期投資に向きません。

これは、運用成績がファンドマネージャーの能力に左右されるためです。長期運用をする際にはこのような能力に左右される投資は望ましいとは言えません。また、③のポイントである「手数料」が高いことも難点となります。利益を出しても出さなくても手数料が高いと資産を目減りさせます。人為的な要素を排除した「パッシブ運用が望ましい」です。

②リスクが分散されている

繰り返し書きますが、「30年かけて積み上げるのだから、負けにくい銘柄」にする必要があります。
一方「ハイテク」とか「エネルギー」とか、「テーマ」別の投資には超長期投資にはリスクを感じます。

どのセクターも波があります。良い時は大きく上がり、悪い時は大きく下がります。

例えば、今は順風なハイテク銘柄も、30年間先を見据えるとどこかで逆風になることがありえるからです。「負けにくい銘柄」とはいいがたい。

そこで、「特定のセクターに投資しているものは避ける」こと。

また、このようなテーマ別投資もファンドマネージャーが状況に応じ資金を動かすため、アクティブ運用の銘柄が多く、手数料が高くなることが多いです

③手数料が安い

重要なポイントです。

「30年かけて積み上げる」ため、手数料の大きさは重要です。
他の投資関連書籍でもある通り、元本が削られることは「複利の効果」を下げることとなります。

テーマ投資などの銘柄は、iDeCo採用銘柄でも信託手数料が年間1%前後のものがあります。
(iDeCo以外だと2%近く取るものも・・・。)

私が過去に投資信託を勧めなかった一番の理由は、この手数料にありました。

100万円を投資して「儲かっても儲からなくても1万円手数料を取る」投資先に投資したいでしょうか。わたしは好ましいとは思えません。

「個別銘柄に投資すれば1万円分負けても投信より運用成績が上がるのだから、他者にお金を預ける理由がない。」と思っていたわけです。

しかし、現在ではインデックスファンド、それらのETFが進化してきて殆ど手数料をかけないで済む投資信託が増えてきました。そこで投資信託に新たな価値を見出すことができた次第です。

以上により、この3つを満たす「インデックスファンド」が安全といえます。
比較の際は表面的な「手数料」だけではなく、事務費などを考慮した「実質手数料」を比較するようにしましょう。

その他チェックポイント

①分配金

iDeCoは、「分配金は非課税で再投資される」ため、分配金の有無を気にする必要はありません。

投資信託全般の話だと、分配金には20%(復興税込みで20.315%)の所得税を生じるため、基本的には分配金なしの銘柄の方が複利の恩恵を受けられます。

②ロボアドバイザー

iDeCoでは見かけませんでしたが、もし見かけても現時点でロボアドバイザーは期待できないと思われます。

理由は2点。
・手数料が高い

 機械まかせなのに人間より高い理由はよくわかりません。

・インデックスの割り振りへのロボアドバイザーが多い
 これは将来改善の見込みがありますが、現在のロボアドバイザー投信はインデックス(ETF含む)の割り振りくらいです。こんなのロボに頼らず判断できるはずです。(アフィリエイト報酬が多いようなので、積極的に宣伝したいけどね)

 将来は個別銘柄への投資や投資パフォーマンスが上がる見込みはあるため、今後に期待と言ったところでしょう。当面は不要です。

③iDeCo非対応の投信

iDeCoに登録できる銘柄は限られているようで、手数料が安く、内容も問題なくても「そもそもiDeCoで使えない銘柄」があります。
例えば、「SBI・バンガード・S&P500」は、投資銘柄・手数料ともに優良ですがiDeCoにそもそも対応していません。

また、上場投資信託(ETF)はiDeCoの対象にできないのか、全く見かけませんでした。
先日記事にしたETF(例えば、条件を満たすだけならVTI VT VOOなど)そのものに投資できれば十分なのに、iDeCoに対応していないようです。

具体的な銘柄

最後に、具体的な銘柄を検討。

自分の取引している銀行や証券会社の情報を観ましたが、手数料の高いものが多いです。
基本的には、(他の金融機関にも同一商品があるが)ネット証券の商品で探していくのが良いようです。

以下のもの辺りが候補になると思います。
手数料は、ポイントを差し引いて年間信託手数料0.15%が目安です。

なお、ポイントは以下の情報で計算してます。

SBI証券ではSBIポイントについて書かれたページを参照。
楽天ポイントは、残高10万円につき4ポイント/月で固定。

※2021.4.23現在 エラー等は確認していますが、一応契約の際はホームページ等を確認ください。

①SBI証券

 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 実質手数料 0.1421%(SBIポイント 0.0374%)

 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)0.200%(0.0462%)

やはり、じっちゃまこと広瀬隆雄氏(Twitter @hirosetakao)が勧めていた両銘柄が優良です。
上述の通り、手数料がさらに安いSBIインデックスがおすすめなのですが、iDeCoでは対応していません。

②マネックス証券

 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 実質手数料 0.1421%

 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)0.200%

SBIと同様です。

ただSBIと異なりiDeCoの利用でSBIポイントのようなものがつかないようなのでSBI優勢。
一方、証券口座を増やさず使いたい方はポイントは誤差の範囲として捉えてマネックス証券もありだ思います。

参考:https://info.monex.co.jp/service/point/saved/index.html ポイントが付きません。

③楽天証券

 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全米株式))0.162%(ポイント0.048%)

楽天ポイントは10万円で4ポイント/月→48ポイント/年(≒0.048%)です。

ポイント還元を考慮してもややSBIに軍配。

マネックスと同じく、差異は誤差程度(積立残高100万円で年間100円程度の違い)なので楽天ポイントが好きな人は楽天証券で良いと思います。

④三井住友銀行

 SMBC・DCインデックスファンド(S&P500) 手数料0.0968%(実質手数料は不明)

唯一メガバンクでこれらの条件を満たしそうな銘柄がありました。

メガバンクでは海外送金や為替などでも頑張ってる三井住友銀行ならではと言えるでしょう。

実質手数料は、実際にかかった経費などを考慮した手数料なのですが手間なので今回は計算省略。SBIの信託手数料本体も0.0968%なので、実質の手数料も同様に0.14%付近なのではないかと思われます。

⑤その他の証券会社

投信を買うことで営業さんに気に入ってもらうことで「IPOに優先当選させてもらえるなどのメリットがある可能性」があります(そういう仕組みが良いかは疑問の余地あり)。
そのため、実質手数料を上回るメリットがあるかもしれませんが、あくまで「可能性」の範囲なので今回は判断の対象外とします。

まとめ

国策として行われているiDeCo。
手数料の少ない、かつ運用成績の高い

 ①全世界・米国
 ②インデックス
 ③手数料が安いもの

を中心に探してみると良いです。

ただ、銀行・信金などはあまり積極的ではなさそうです。ページなどを見てても、一部を除きわかりづらく商品も多く、積極的に売る気はないのかもしれません。

予想の範疇ですが、恐らく積極的に宣伝しないのは「金融機関に美味しくない商品(だけど国策なので仕方なく参加している)」だからなのでは、と思います。

一方、積極的に取り扱うのは証券会社。
特にネット証券については良い商品があります。

結論としては3大ネット証券、あとは三井住友の「SMBC・DCインデックスファンド(S&P500)」辺りが候補になると思います。(国際送金も低い手数料で行える三井住友は外国関係は強いですね。)

参考までに、私は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」にしました。
楽天ポイントは度々改悪の歴史があるため、ほぼ同じ手数料ならSBIの方が良いと判断。
実質手数料は複利で増えるため、ポイントより信託手数料を取ります。

最後に、繰り返しになりますが、

「iDeCoは30年ものの投資」であることを念頭に検討しましょう。

そうするとおのずと戦略が決まってくることになると思います。

参考になれば幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました