生命保険に気をつけろ(新社会人のマネーリテラシー)

ファイナンシャル・プランニング

4月になり、新入社員が入ってくる季節になりました。
入社した当時のことを思い出すと、身の引き締まる思いを感じます。

2日間を終えて、来週から本格的に色々なことを学ぶ時期になると思います。

今日は、そんな新入社員の頃のエピソード、「生命保険の勧誘」をテーマに。

当時はあまりよく研究していなかったので、裏付けを持たず、あることでたまたま回避したものの、まともな勧誘なら入っていたかもしれません。

資産を増やすためには、投資もさることながら、「無駄な支出を避ける」ためにも保険や基礎的な金融の知識が必要になります。

生命保険の「購入」は、「必須」じゃないんです。

1 入社直後に来た「刺客」

個人的には、生命保険へのエピソードにいい印象がなく、自分はあまりいい思い出がありません。
故に、大手生保のCMなどを見ると複雑な気持ちにさせられます。

保険の営業は、固定給以外に「保険を販売することで出来高に対しお金をもらえる」仕組みになっています。そのため、生命保険を売るために様々な手を使ってくることがあります。

入社した当時、昼休みになると生保のセールスマン(セールスレディ)が来ていました。
新人が入ると情報を入手するのか、新人の居る部門に現れるようです。
(もし、総務・人事部門が新人の情報を提供しているならば、それは個人情報の漏洩であり問題だと思います。)

新人さんはマネーリテラシーの無い方も多く、セールスのプロは常套句をもって勧誘してきます。

「みんな入っていますよ」
「あなたが、もしがんにかかったら」
「万が一の時のために」

はじめて社会に出たあなたは、「必要な話かもしれない」と丁寧に聞く方も少なくないと思います。

こうして、保険のセールスレディが昼休みに30分くらい話してくる。

しかも、最初は慣れ慣れしく、そして若者の不安をあおる言葉で執拗に。
個人的には、60分しかない昼休み(食事を差し引けば40分)の30分を食いつぶされるだけでも相当失礼に当たると思いますが、加えて自分は以下のようなやり取りを本当にされました。
(10年以上前なので、今はここまでひどいセールスは居ないと信じたい。)

セールスレディ(以下「女セ」)「またご説明をしたいので連絡先をここに書いてもらえますか?」

と、出した紙に書いてある「契約書」の文字。

私「・・・?
  これ、「契約書」って書いてあるんですけど。」
女セ「あら、そうだった?ごめんなさいね。」

と、白紙のメモ用紙を出してくる。

私「ちょっと、なんか怖いんでやめときます。」
女セ「そんなこと言わずに・・・。」

とさらに畳みかけてくるが、良くないものを感じたのでお断り。

あそこで気づかなければ、言葉巧みに加入していたかもしれません。

終わった後、上司に「あの人の勧誘を断るなんてやるなぁ。」と言われましたが、単に合わなかっただけです。
サラリーマンが入社時に職場で勧誘される生命保険はメリットの少ないものが多いです。

子を思う親心から払う保険料

もう一つ、生命保険で残念なエピソードがあります。

親が、私のために支払ってくれていた「がん保険」
学資保険が終わったころに加入したと思しきがん保険。

感覚でもわかると思いますが、10代~20代でがんになる確率はほぼゼロです。
(後述する書籍にもありますが、様々なサイトなどで情報提供されています。)

確か、30歳手前くらいの時に、親の確定申告の生命保険料控除の話になった際に発見。
生命保険にがん保険などの特約が、ごてごて付いていて月額4000円くらいだったと思う。

4,000円×12月×12年(30歳として)=576,000円

当然、がんにはかからなかったので現時点で1円も給付なし。
釈然としなかったので、保険のセールスレディ(以下、「女セ2」)に補償内容を説明するよう問い合わせ。あくる日、セールスマンの方(以下、「男セ」)も来る。

女セ2「内容について詳しいものを連れてきました。」
男セ「よろしくお願いします。」

概要の説明を受ける。
電話をかけた後、契約内容は読み込んでいたので、話と概ね一致しているのを確認し、

自分「20代のがん保険の特約って、ほとんど意味ないんじゃないですか?」

と聞いたとき、男が言った言葉がとても印象に残っています。

男セ「結果としてはそうなりますね(苦笑)」

セールスレディが自分で補償内容を説明できないということも微妙なところ(自分が売るもの知らなくてプロなのかと思った。)ですが、「結果としてはそうなりますね」という言葉がとても許せませんでした。

10日後に解約し返戻金は親へ。感謝の言葉とともに、金銭面でしっかり自立することにしました。

納得して加入したから違法性はないのでしょうが、果たして理解してたら加入していたでしょうか。

子を思う親心につけこみ、無知な弱者からむしるようなビジネスはとてもイヤなものです。

生命保険が本当に要るシーンと判断すべきポイント

詳しい制度の良し悪しはFPさん(まぁ、私もFP有資格者ですが。)や、保険についての本(後述)を読んでもらうと良いとして、これらのエピソードから、保険加入の際のチェックポイントを整理しましょう。

殆どの保険は、職場でちょっと解説を受けた程度では足りません。家でじっくり見てみると疑問に思うところが必ずあります。保険に限りませんが、社会人になれば何事も「契約後」は義務(保険の場合、主に保険料の支払い。)を生じます。

社会人1年生の方は、「その場でわからなかったら契約せず」、じっくり持ち帰って考えてみましょう。

ポイントは以下の5点。

①その保険は本当に出るのか(保険内容を確認しよう)

「がん保険」は、特約がなければ「がん以外では保険金は出ない」

当たり前の話です。

でも意外にかかりやすいワナ。

私が話したセールスの方々は、嘘をつかない範囲で「補償の範囲を広く見せる」ように感じました。

これで有事も安心と思っていた保険が、いざ病気になったときに対象外なんてことにならないようにしましょう。

例えば、90日の入院まで補償されるという契約があるとして、91日目からは全く貰えなくなるわけです。「どのようなリスク」に対し「どれくらい補償してもらえるのか」を聞くことが大切です。

②かけ過ぎてないか(普通はサスペンスドラマのようなかけ方はしません)

不謹慎な書き方のつもりはありませんが、被保険者が死亡したときの話。

我々が、万が一亡くなるようなことを想定した死亡保険。
妻や子に対し、残すことは多少はあるとしても、社会人になりたての方が死亡したときに親に数千万円渡す保険に加入しても意味がないです。

「補償のサイズ」を気にするようにしましょう。

③生命保険は年を取ると高くなる

生命保険は年を取るとどんどん高くなります。

これも、当たり前と言えば当たり前です。

死亡する可能性が高くなる以上、保険会社は保険料を高くするしかないのです。
(なお、金利を考慮したうえで、高齢の保険を先取りして払う「終身保険」もありますが割愛。)

逆にいうと「高齢者の保険(又は高齢の時の補償がある保険)に入るのは不利」で、そこまでに「蓄財を終えていないといけない。」ということです。

④その保険のコスパは本当に良いか(10万円を貰うのに100万円かけていませんか)

先ほどのがん保険のエピソードのように、1円ももらえないで50万円も払うケースはコスパの悪い最たる例ですが、

「入院給付費10万円をもらうために、20年かけて100万円を保険会社に払っていないか」

を考える必要があります。

「万が一のことに対応するのが保険ではないのか。」

という意見は正しいです。でも「それが妥当な保険料か」という視点を持つことが重要です。

一般的に「想定外になればなるほど保険料が安くなり」ます。

上の例で当てはめるなら、

仮に「20代でがん保険に加入してもいい」のです。

補償がごてごてとついているのが問題で、「でも、月4,000円は高い」という視点で考えてみましょう。

⑤そもそもセールスマン(セールスレディ)にお金をかけて売る商品は本当に価値があるか

私は上記2件を体験して、最初から保険セールスに懐疑的な部分もあります。

一方で、そう思ってない方でも、ここだけは把握しておきましょう。

セールスマン(セールスレディ)は、「我々に役立つ商品を売ってくれているのか」ということ。

彼らに払われる報酬、公にはあまり出てこない情報ですが、結構高いように思います。

以下のサイトに、ヒントが載っています。

生保レディの歩合給
ぶっちゃけ、契約に対してどのくらい給料に反映するんですか?また給料に反映するのは契約してすぐですか?解約されたら、どのくらい給料から引かれますか?答えて頂ける範囲で、情報ください。お願いしますm(__)m - 生命保険 解決済 | 教えて!goo

これが事実かは不明です。

でも、情報があまりにかけ離れていたら保険会社からクレームがついてもおかしくないものであるため、消されていない以上、遠からずの相場であると思われます。

定期保険 ~1年で5割、1~7年で1割。8年以降は不明。
(医療・がん)
終身保険 ~1年で4割、1~7年で1割。8年以降は不明。

極端に捉えると、直販なら少なくとも「7年目までは1割保険料を下げられる」ということです。

加えて

・定期保険や医療保険、がん保険などのマージンが大きい
 →「保険会社が儲かる」商品、かつセールスが売りたい商品といえます。

このように売る側の視点を掴むことも大切です。

結論

長々と書いたけど、結論は単純。

新人さんへのアドバイス。

個人的には、オススメできるほどの保険はほとんどないのが本音ではあります。
でも、どうしても加入するならば「契約はよく読む」ようにしてください。

これは、社会人で生きていくうえで、マネーリテラシーを成長させるためにも役立ちます。

重要なポイントは、

①契約はその場で絶対にしない

②契約内容は以下のポイントに注意して、不明な点はネットで調べる又はセールスに説明させる

 ・その保険は本当に出るのか
 ・かけ過ぎてないか
 ・生命保険は年を取ると高くなる
 ・その保険のコスパは本当に良いか
 ・保険会社やセールスに有利な商品なのではないか

この辺りを抑えておくと、保険加入に対する不安が整理されると思います。

参考になりそうな書籍

参考書籍は、色々な良書が出ているので1冊のみ紹介。

この本に限らず、個人の生命保険のカラクリについて書かれた本は出版されています。
一応、個人的なオススメとして後田亨氏の書籍が本質を突いていると思います。
(ちなみに私は10年ほど前に著者の「生命保険の罠」という本を最初に読みました、オススメ。)

以下のリンク以外にも、古本で安く買えるなら氏の本を読んでみると良いと思います。

参考になれば幸いです。

いらない保険 生命保険会社が知られたくない「本当の話」 (講談社+α新書)
その保険、本当に必要ですか? 保険は契約時の約款に書いていることしかカバーしてくれません。たとえば若い時代に終身保険を契約して、70歳、80歳になった時、内容がすべて「陳腐化」している恐れも。後半生の長い人生100年時代は、1千万円を超える保険料を払って保険会社に手数料をたくさん収めるより貯蓄・運用等で資産を殖やそう!

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