【国徴法小話7】地方税なのに国税徴収法?

税金の話

今日は、これから歯医者に行った後、娘と公園に遊んできます。

●娘の話

最近、着る服に文句をつけるようになってきました。
「アンパンマンの服はいやだ!」と言ったかと思えば、

翌日は、先生に褒められたからか、
「アンパンマンは ○○せんせいが すてきー いってた。」と喜んでみたり。

おしゃれなのか、周りの目を気にするようになったのか。
どちらにせよ、物事にこだわりを持つ娘に成長を感じます。

さて、本題。
今日ものんびり、コーヒーブレイク用の国徴法の話。
今回は「地方税・公課と国税徴収法の関係」の話です。

国税徴収法は、その名の通り「国税」の滞納処分等について書かれた法律です。(国税徴収法1条)

国税徴収法(抄)
(目的)
第1条 この法律は、国税の滞納処分その他の徴収に関する手続の執行について必要な事項を定め、私法秩序との調整を図りつつ、国民の納税義務の適正な実現を通じて国税収入を確保することを目的とする。

しかしながら、地方税、国民健康保険、国民年金などの徴収において、「国税ではないが国税徴収法」を使っています。

今日は、そんな「他の租税公課と国税徴収法」の関係について考えてみましょう。

今日の記事は「試験には99%出ない」ではなく、おそらく100%出ないでしょう。(国税徴収法であって、国税徴収法の話ではないから。)

まぁ、いつものコーヒーブレイクのつもりで。

「法律って、こんな感じで繋がっているのね。」と思ってもらえればと。

今回のゲストは、「地方税法」、「国民健康保険法」、「介護保険法」、「国民年金法」その他いっぱいです。

国保・年金・保育料。様々なものが国税徴収法を使っていたりします。

地方税法なのに国税徴収法?

経理や総務をしている方なら、もしかしたら体験したことがあるかもしれません。自社の従業員が、国保や税金を滞納をしているときに、給与の支給状況を確認する書面が届くことがあります。

そこには、

地方税(国保料や国民年金など)の滞納をしているので調査をしています。
根拠法文(根拠法令)には「国税徴収法141条の調査による」

と記載されているわけです。

「地方税法なのに、何で国税なの?
 もしかして、架空請求?」

と思う方もいるかもしれません。

実は法的根拠があるのです。

各法と国税徴収法との関係

なぜ、国税徴収法を使えるのか。

ある程度予想はつくかもしれませんが、「他の法律に、(一部又は全部)徴収では国税徴収法のルールを使うと書いてあるから」です。

立法趣旨が語られているものは見つけられませんでしたが、同等の性質を持つ租税債権(公課)であるため、「国税徴収法の変更にあわせる仕組みにしておけば、特定の税目等による取り扱いに、違いを生じさせずに済む」からなのではないかと思います。(これはあくまで推測ですが。)

具体的に、住民税(地方税法)だと以下のような感じ。

地方税法(抄)

(市町村民税に係る滞納処分)
第331条 市町村民税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。
(略)
 6 前各項に定めるものその他市町村民税に係る地方団体の徴収金の滞納処分については、国税徴収法に規定する滞納処分の例による。

※下線は筆者

このように、「地方税法に載っていないことを国税徴収法のやり方でやる。」という方法で補完している仕組みです。

なお、後述のとおり、地方税以外の多く公課等はさらに間接的です。

他法の法的根拠

もっとあるかもしれませんが、滞納処分の根拠法の一部です。

今回は、法文を探すのが手間でしたが、書いてあることはほぼ同じで冗長かつ面白みもないので、概ね省略。

※最初は調べられる限り調べようと思いましたが、主要なもののみ。
 (全て同時に使う人がいないし、試験にも出ないという誰得の世界なので。)
 無益な差押えならぬ、無益な法文調査です。

 ・国民健康保険料 
  国民健康保険法79条の2→地方自治法231条の3→地方税の例
 (ところが国民健康保険「税」は地方税法です。※728条2項7号)

 ・国民年金保険料
  国民年金法95条(国税徴収の例:地方税じゃないから独立)

 ・後期高齢者医療保険料
  高齢者の医療の確保に関する法律113条→地方自治法231条の3→地方税の例

 ・介護保険料
  介護保険法144条→地方自治法231条の3→地方税の例

 ・保育園の保育料
  児童福祉法56条6項→地方税の例

調べていてわかりましたが、

 ・地方税は各税目で国税徴収法を使って補完。
 ・公課等は主に「地方税法の例」により、地方税法と国税徴収法で補完

という連携を取っているようです。

これらは、地方税法や国税徴収法の規定の適用を受ける債権。
いわゆる、自力執行権(裁判所を使わずとも差押え可能)を持っている租税公課になります。

国税徴収法の法律を使える「自力執行権(ざっくり言うと、裁判所に依らず差押えたりできる権利)」を持つ公課等になります。

では、法律の適用がない公課等はどうなるのでしょうか。

国税徴収法がつかえない公課等

上で説明した通り、「国税徴収法又は地方税法の徴収の例により徴収する」法的根拠があるから適用できる「国税徴収法」というロジックがあります。

つまり、逆に言えば、

   法的根拠が無い
 → 国税徴収法がつかえない
 → 自力執行権も当然ない

となるわけです。

逆に、適用を受けない収入金は、地方税法や国税徴収法を適用できず、「私債権と同じ対応」が必要になります。

例えば、該当するものとして、「給食費」などがあります。
給食費を滞納した親御さんが債務者、そして学校長が債権者という関係となり、民事手続きが行われることになります。

このような場合、私債権と同じため、民事執行法や民法の適用を受ける債権となります。

イメージとしては、売掛金不払いをする業者に裁判所を通じて「支払督促」「少額訴訟(もちろん60万円以上で通常訴訟)」などを行っていくことになるわけです。

好奇心から突き詰めて書いてみたいところですが、ここはどう見ても税理士さんというより弁護士さんの守備範囲です。
調べるのも難解。深い沼が広がっています。

いずれわかりやすいところだけでも書けたらと思いますが、今回は断念。
(さすがにこれは国税徴収法と無関係なのでたどり着くのが困難かも。)

まとめ

今回の結論はシンプルです。
「国税徴収法は他法でもつかわれている」ことです。
一応、重要なことは以下の3点。

 ・地方税(一部の公課)は、定めのない事項を国税徴収法で補完
 ・公課等の多くは、地方税法の例により徴収、国税徴収法との合わせ技
 ・国税徴収法を使えない債権(給食費等)は、私債権として裁判所等を利用した債権管理

私債権の場合だと、支払督促、少額訴訟、裁判等を行う必要があり、民事の知識が無いと中々の沼な世界になります。

実際に、給食費で裁判所から支払督促を送る手配をするような事例もあるようです。

自治体を訴えることは稀にありますが、逆に自治体や学校長から訴訟を起こされることは、下手すれば税金の差し押さえより悪目立ちすることになります。約束を守ってしっかりと税金等は払いましょう。

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